MENU

真に知る者は怒らず、静けさのうちにある


目次

📜 引用原文(日本語訳)

第二〇章 怒り一七
「心が静まり、身がととのえられ、正しく生活し、正しく知って解脱している人に、どうして怒りがあろうか?
はっきりと知っている人に、怒りは存在しない。」


🔍 逐語訳(逐語・一文ずつ訳)

  1. 「心が静まり、身がととのえられ」
     内面が安定し、日々の行動や態度にも乱れがない状態。
  2. 「正しく生活し、正しく知って解脱している人に」
     戒律・智慧・瞑想をもって生活し、真理を見極め、執着から解放された人に対して、
  3. 「どうして怒りがあろうか?」
     そのような人に、怒りのような煩悩があるだろうか?(いや、あるはずがない)
  4. 「はっきりと知っている人に、怒りは存在しない」
     真理を深く理解した人には、怒りのような迷いは起こらない。

🧩 用語解説

  • 心が静まる(心寂・静慮):感情や欲望に乱されない安らかな心の状態。瞑想や戒によって得られる。
  • 身がととのえられる(身業の正しさ):言動・姿勢・生活習慣が整っていること。仏教では「身・口・意」の三業が調和している状態。
  • 正しく生活し、正しく知る:八正道の実践(正見・正思・正語・正業など)を日常に活かし、智慧をもって世を観ること。
  • 解脱(ニルヴァーナ):煩悩・執着からの完全な自由、仏教の究極目的。
  • 怒りがない:怒りが一時的に抑えられているのではなく、その根が存在しない精神状態。

📝 全体の現代語訳(まとめ)

心が静かで、行いが整っていて、真理を知り、日々を正しく生きる人――そのような人物には、怒りの感情は生まれようがない。真実をはっきりと見通す智慧のある者には、怒りは必要なく、自然とその心から消えている。


💡 解釈と現代的意義

この詩句は、「怒りとは無知と混乱の産物」であることを示しています。
怒りは、外からの刺激に反応するように見えて、実は内なる未整理・未理解の心が反応しているのです。

つまり、「真に理解した者」は怒らないのです。
怒らない人は、単に「我慢している人」ではなく、心の中に怒りが芽生える余地そのものがない人です。
現代社会においても、自己をよく観察し、心を整え、生活を丁寧に行い、物事の因果をよく理解する人は、感情に振り回されず、冷静さを保ち続けることができます。


🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
感情管理とセルフリーダーシップ自分の内面を整えること(睡眠・食事・呼吸・瞑想)が、怒りに流されない判断力を育てる。
マネジメント真理を知っている人=全体を見通し、関係性や本質を理解している人は、怒らずに導くリーダーである。
意思決定の精度怒りがない状態のほうが、長期視点・大局的判断が可能となり、誤ったリスクの回避にもつながる。
社内文化の形成組織の中に「静かな力」を持つ人がいることが、感情で動く文化から思慮深く調和的な風土へと変える。

🧠 心得まとめ

「怒りなき者は、知恵ある静けさに生きている」

怒りとは、心が乱れているときに起こる反応である。
静まり、整い、真理を見た人には、それはもはや不要な衝動である。
だからこそ、怒らないことを目指すのではなく、怒りが生まれない心の土壌を育てることが大切である。
整った心と生活が、争わずとも周囲を導く力となる。


この詩句は、怒りの根源的な理解と、それを超えた人格の完成を示す、まさに仏教的理想像です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次