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怒りに沈むとき、力は消え、徳は遠のく


目次

📜 引用原文(日本語訳)

第二〇章 怒り六
「或る人にとって力は力であっても、怒ったならば、その力は力ではなくなる。
怒って徳行の無い人には、道の実践ということが無い。」


🔍 逐語訳(逐語・一文ずつ訳)

  1. 「或る人にとって力は力であっても、怒ったならば、その力は力ではなくなる」
     いかに力があろうと、怒りに囚われればその力は理性を失い、真の力とは言えなくなる。
  2. 「怒って徳行の無い人には、道の実践ということが無い」
     怒りに任せて振る舞う人は、道徳(ダルマ)を実践することができず、修行の道からも外れてしまう。

🧩 用語解説

  • :身体的・精神的・社会的な影響力やリーダーシップ。力そのものには中立的な価値があるが、その使い方が本質を決める。
  • 怒り:仏教においては「瞋(しん)」とされ、三毒(貪・瞋・癡)の一つ。感情に支配される危険な状態。
  • 徳行:倫理的・道徳的な行動。人として守るべき価値や誠実さ。
  • 道の実践(ダルマの行):仏法に基づく実践行動。怒りや欲望に支配されず、誠実に歩む修行の姿勢。

📝 全体の現代語訳(まとめ)

力がある人であっても、怒りに我を忘れたならば、その力は真の力とはならない。また、怒りによって徳行を失った者には、道(ダルマ)を実践する資格も、力も備わらない。怒りとは、力と人格を同時に奪い去るものである。


💡 解釈と現代的意義

本節は、「怒りによって自らの力を無効化してしまう危険性」を示しています。どんなに能力が高く、地位があり、周囲を動かす力を持っていても、怒りに支配されれば、その影響力は破壊へと変わり、尊敬も信頼も失われる。

真の力とは、「怒りを制する力」なのです。徳なき力は、もはや道から外れた暴力に過ぎません。道(ダルマ)は、感情に呑まれない理性と倫理を基盤にしてこそ歩めるのです。


🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
リーダーシップの本質リーダーが怒りに任せて部下を叱責すれば、力は「威圧」に変わる。理性と慈愛を持って導くことが、本当のリーダーシップである。
評価と信頼能力が高くても、怒りを抑えられない人は「信頼される力」を持続できない。力と徳が伴って初めて、人は評価される。
組織運営社内で影響力を持つ人ほど、怒りによる判断ミスは重大な損失を招く。冷静さを保つ姿勢が、組織の安定を築く。
自己成長と誠実さ怒りは「短期的な正しさ」ではなく、「長期的な成長」を妨げる。徳を守るために感情を制御する姿勢が、人格の基盤となる。

🧠 心得まとめ

「怒りは力を消し、徳を奪い、道を閉ざす」

怒りに囚われたとき、どんなに高い能力も、どんなに立派な肩書も、それはただの「暴力」に変わってしまう。力とは、使い方が問われるものであり、それを支えるのは徳と道である。怒りを制し、力を正しく運用できる者こそ、真に尊敬される存在となる。

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