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己を調えし者、すべての絆を断ちて自由に至る


目次

📖 引用原文(日本語訳)

一〇
何となれば、その人はその乗物によってはその境地(=ニルヴァーナ)に達することはできない。
おのれ自らをよくととのえて、一切の束縛の絆を断ち切る。
——『ダンマパダ』第十九章 第十偈

※「十A」は「七に同じ」とされており、内容的に一連の思想体系の中の反復強調となっています。


📘 逐語訳(文ごと)

  1. どれほど立派な乗物に乗っても、その人はニルヴァーナ(涅槃)には至れない。
     → 外的手段や環境では、根本的な解放には至らないという否定。
  2. 自らをよく調えることによってのみ、人はすべての束縛から自由になれる。
     → 自己制御・自己修養が、心と存在を縛るあらゆる執着・苦悩を断ち切る鍵となる。

🧩 用語解説

用語解説
乗物(ヴァーハナ)他者の助力・社会的地位・ツールなど、外的手段の象徴。
ニルヴァーナ一切の苦しみ・迷妄・執着を超えた心の安寧と自由。
おのれを調える行動・言葉・思考・感情・心の在り方を正すこと。
束縛の絆(サンヨーガ)執着・欲・怒り・無明など、苦しみの原因となる内的しがらみ。

💬 全体の現代語訳(まとめ)

どれほど立派な乗物(地位・道具・援助)を得ても、
それによって真の悟りの境地に至ることはできない。
自分自身の心を徹底的に調えた者だけが、欲・怒り・執着という束縛を断ち切り、自由へと至る
この偈は、「解脱」とは行為や技術の結果ではなく、「内面の成熟」の帰結であると説いている。


🧠 解釈と現代的意義

第十偈は、「自己調御」という一貫したテーマを、「束縛の断絶」という言葉で完結させます。
これは現代で言えば、他人の期待・社会的圧力・過去の評価・自我への執着といった内面的な縛りを断ち切ることと重なります。

私たちは、外的手段や成果に頼って「成功」や「安心」を得ようとしがちですが、
この偈は、本質的な自由とは、“心の内なる絆”を絶ったときに初めて得られるものであることを、明確に示しています。


🏢 ビジネスにおける適用

観点適用例
道具・制度依存の克服便利な制度や仕組みに頼るのではなく、根本的な自律と継続こそが力を生む。
評価や承認への執着を断つ人からの評価に左右されず、自分自身の軸で行動できる人は、持続的な成果を出す。
内的ブロックの解消「失敗への恐れ」「変化への抵抗」など、心の中の縛りを見つけて解きほぐすことで、真のパフォーマンスが出せる。
自由な意思決定心が調っている人は、周囲に流されず、的確でブレない判断ができる。

🧭 心得まとめ

「人を縛るのは、外ではなく内の絆である」

ニルヴァーナに至る唯一の乗り物は、自分自身。
己を調えることが、あらゆる迷いと苦しみからの解放をもたらす
外の状況を変えようとする前に、自分の中の縛りに気づき、断ち切る勇気と実践こそが求められている。

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