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己を整えし者は、苦しみを超える


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📖 引用原文(日本語訳)


何となれば、その人はその乗物によってはその境地(=ニルヴァーナ)に達することができない。
おのれ自らをよくととのえて、一切の苦難を捨て去る。
——『ダンマパダ』第十九章 第九偈

※「九A」は「七に同じ」とされていますが、内容的には第七偈の再確認でありながら、第八偈の主旨を強調する短縮版です。


📘 逐語訳(文ごと)

  1. どれほど立派な乗物を用いても、その人は涅槃(ニルヴァーナ)に至ることはできない。
     → 外的手段・権威・環境は解脱の本質的条件にはならない。
  2. 自らをよく整えた者のみが、一切の苦しみを捨て去ることができる。
     → 自己制御・自己修養こそが、苦難を超越するただ一つの道である。

🧩 用語解説

用語解説
乗物(ヴァーハナ)象・馬・車などの比喩。地位・手段・他者の助力など、外的な力の象徴。
ニルヴァーナ欲望・怒り・無明を滅した静寂なる境地。仏教における最終目標。
自らをととのえる心と行為を律し、真理と一致した生き方を確立すること。
苦難(ドゥッカ)生・老・病・死をはじめ、執着・迷妄から生じるあらゆる心の苦しみ。

💬 全体の現代語訳(まとめ)

いかに高価な乗り物や優れた環境があっても、
それだけでは決して真の解放には至らない。
自分自身を律し、深く整えることができる人こそが、苦しみを完全に乗り越える
この偈は、仏教的実践における最終的な自己責任の徹底を示している。


🧠 解釈と現代的意義

第九偈は、第八偈までに語られた「馬」「象」「戦場」「涅槃」などの比喩の結論として、
すべての手段・権威・支援を否定するわけではなく、それに依存しては真の自由には至れないという真理を簡明に示します。

現代では、環境・支援・ツール・メソッドに価値が置かれがちですが、
最終的にすべての成果と変化をもたらすのは「自分の内面をどう調えるか」にかかっていることを、この偈は鋭く指摘しています。


🏢 ビジネスにおける適用

観点適用例
外的リソースと内的資質高度なITツール・コンサル・教育などを取り入れても、最終的に変わるのは本人の意志と自律力次第である。
セルフコントロールの価値自分の感情・思考・行動を常に見直し整える力こそ、長期的に成果を生む真のスキル。
苦難を乗り越える力外部環境を整えることも必要だが、困難を超えるためには「内なる整備」が不可欠。
プロフェッショナリズム外的評価や条件に左右されず、常に自律して仕事を全うする人が最も信頼される。

🧭 心得まとめ

「他者ではない、自分自身を整える者が、苦しみを捨てる」

最後に頼るべきは、手段でも支援でもない。
「己をととのえること」こそが、唯一無二の乗り物となって、苦しみの海を渡らせてくれる。
この偈は、仏教的実践の核心を極限までシンプルに凝縮した一節です。

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