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己を制する者は、王に仕える馬のごとく世を導く


目次

📖 引用原文(日本語訳)


馴らされた馬は、戦場にも連れて行かれ、王の乗りものともなる。
自らをおさめた者は、人々の中にあっても最上の者である。
かれは世のそしりを忍ぶ。
——『ダンマパダ』第十九章 第六偈


📘 逐語訳(文ごと)

  1. よく調教された馬は、戦場でも王の乗りものとして用いられる。
     → 完成された存在は、極限状況においても役割を果たす力を持つ。
  2. 同じように、自分自身をよく制御できる者は、人々の中でも最上である。
     → 自己管理された人間は、社会の中でも最も尊敬される存在となる。
  3. その人は、世間の非難や中傷を耐え忍ぶ力を持っている。
     → 真に優れた人は、賞賛だけでなく批判も静かに受け止め、揺らがない。

🧩 用語解説

用語解説
馴らされた馬訓練を積み、自己制御ができ、主人の意志に従う馬。人格完成の象徴。
戦場混乱や危機の象徴。現代でいえば困難な職場・社会状況。
王の乗りもの最も信頼される存在、権威のもとで活躍できる人物。
自らをおさめた者(自制心を持つ人)欲望・怒り・虚栄などをコントロールし、自分を律する人。
そしりを忍ぶ他人の評価や批判に動揺せず、静かに自分の道を進む姿勢。

💬 全体の現代語訳(まとめ)

訓練された馬が戦場という極限の状況でも王を乗せて戦うように、
自己をよく律し制御する人間は、世俗の中にあっても最も尊ばれる存在となる。
そして、そのような人物は賞賛だけでなく非難も冷静に受け止め、ぶれることなく自らの道を貫く。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、「自己完成した人間は、社会の中でこそ輝く」という仏教的リアリズムを示しています。
静かな瞑想や内面的修行にとどまらず、社会という“戦場”においても安定した力を発揮できる存在こそが、真に尊ばれると説かれています。

さらに注目すべきは「そしりを忍ぶ」という一節。これは、現代のSNS時代において特に意味深です。
称賛と批判が絶え間なく飛び交う現代社会で、批判に耐える力=真の成熟であると説いているのです。


🏢 ビジネスにおける適用

観点適用例
自己管理とリーダーシップ外圧や困難の中でも冷静に自己を制御できる人は、チームを導く力を持つ。
変化対応力と安定感トラブルやクレーム対応など、いわば「戦場」においても冷静で信頼される人材になる。
批判耐性と精神力理不尽な評価や中傷にも動揺せず、淡々と仕事を全うできる人は長く評価される。
トップに仕える資質経営層や顧客など、重要な存在から信頼されるには、「御者に身をゆだねる馬」のような信頼性と柔軟性が必要。

🧭 心得まとめ

「戦場において王を乗せる馬のごとく、己を律し、批判を超えて歩め」

本当の力とは、整った環境ではなく、混乱の中でこそ現れるもの
自分を制し、世の評価に揺らがず、役割を全うする――その姿勢こそが、
現代社会で本当に尊敬され、求められる人物像なのです。


この偈で、「馬」の象徴は内面の修行から社会での実践へとつながります。

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