目次
📖 引用原文(日本語訳)
四
怠りなまけている人々のなかで、ひとりつとめはげみ、
眠っている人々のなかで、はっきりと目醒めている思慮ある人は、
足のろの馬が良馬に比べられるように、他のものどもを措いて、すぐれた叡智ある人に向っておもむく。
——『ダンマパダ』第十九章 第四偈
📘 逐語訳(文ごと)
- 怠惰な人々の中にあって、ただ一人努力を続ける者は――
→ 多くが怠けるなかで、自分に厳しく精進する者。 - 眠る人々の中で、はっきりと目覚めている思慮深い者は――
→ 無自覚な生に流されず、意識的に生きる者。 - のろい馬が良馬と比べられるように、凡俗の中にあっても、慧者の方へと進んでゆく。
→ 他者を気にせず、叡智に導かれるように独自の道を歩む。
🧩 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
怠りなまけている人々 | 無自覚・無努力・惰性の生活を送っている大多数の人々。 |
眠っている人々 | 無知・無思索・感覚に支配されて生きている人々の比喩。 |
目醒めた人(思慮ある人) | 自覚的に真理を求め、努力を続けている修行者・探究者。 |
足のろの馬/良馬 | 平凡な者と、卓越した者との比較の比喩。 |
叡智ある人(パンディタ) | 智慧と実践を備えた、導き手となる高徳の人物。 |
💬 全体の現代語訳(まとめ)
怠けて流される人々の中でも、ひとり努力し続ける者。
無自覚に眠ったように生きる人々の中でも、しっかりと目を開いて生きる者は、
凡庸な者と比べられることで、その価値をより際立たせ、やがて真の叡智ある者のもとへと自然に導かれていく。
これは「孤高に進む者の姿」を称える句である。
🧠 解釈と現代的意義
この句が教えているのは、「まわりと比較せず、自分の道を歩む勇気」です。
人が怠け、思考停止している中でも、自分だけは意識を高く保ち、努力を重ねる――その姿は孤独でありながら、確実に「叡智ある者」に引き寄せられていく。
つまり、「努力する者は孤立しているように見えて、実は高い次元へ導かれている」という希望の宣言でもあります。
🏢 ビジネスにおける適用
観点 | 適用例 |
---|---|
自己主導型人材 | 周囲のムードや他人の怠慢に流されず、自分の意志と目標を持ち続ける社員は、真の成長軌道に乗る。 |
孤独な努力の意義 | 周囲が手を抜くときでも、自分のクオリティを下げずに努力できる人は、やがて大きなチャンスや評価に出会う。 |
進化を選ぶ者 | 惰性や惰弱から距離を取り、思考と改善を繰り返す人は、優れた先導者やメンターとの縁を引き寄せる。 |
成果ではなく姿勢 | 今は目立たなくても、誠実に継続する姿勢そのものが、他者と違う高みに導くエネルギーとなる。 |
🧭 心得まとめ
「周りが眠っていても、自分は起きて努力せよ。叡智はその先に待っている」
この句は、孤独な努力の価値と誇りを教えてくれます。
「今の自分は報われていない」「まわりが楽をしている」――そう感じる時こそ、この言葉を思い出してください。
あなたの静かな努力は、神々が見るほどに高く、慧者とつながるほどに尊い。
この第四偈で「馬」の章の思想が一つの完成を見せます。
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