■ 引用(出典)
七*
うるわしく、あでやかに咲く花で、しかも良い香りのあるものがあるように、
善く説かれたことばも、それを実行する人には、実のりが有る。
(『ダンマパダ』第18章 第7偈)
■ 逐語訳
- 美しく、鮮やかに咲く花の中には、香り高きものもある。
- それと同じく、高尚に語られた真理の言葉でも、
- それを実行する者にとっては、本当に価値ある実りを生むものである。
■ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
うるわしく、あでやかに咲く花 | 見た目の魅力、説得力ある表現、美しき理念。 |
良い香り | 実際の行動や結果にともなう価値と信頼。 |
善く説かれたことば | 真理・教訓・道徳・理念など、言葉としての完成度が高い教え。 |
実のりが有る | 実際の変化・成果・信頼を生み出す効力のある状態。 |
■ 全体現代語訳(まとめ)
言葉だけが美しくても意味はない。だが、その美しき言葉を実行に移したとき――
そこには香りが生まれ、実りが生じる。理念を語り、そしてそれに生きる人こそが、
本当の意味で周囲を導き、変える力を持つのである。
■ 解釈と現代的意義
この偈は、「知識と行動の一致によってこそ、真の徳が成る」ということを明快に示しています。前偈(第六偈)が「空しい知識」を戒めたのに対し、この偈は「実行された知識」の美しさと力を称えています。現代においても、ただ知っている人より、実際に生きている人が最も影響力を持ちます。知識は行動によって完成される――それがこの教えの核心です。
■ ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用の仕方 |
---|---|
理念経営 | ビジョンやミッションを掲げるだけでなく、日々の業務に体現されている企業こそが、長期的に支持される。 |
ブランドの信頼 | 言っていることと、やっていることが一致している企業・個人には、顧客や社員の信頼が集まる。 |
行動に根ざしたリーダーシップ | 語るだけでなく、まず自分が実践してみせるリーダーには自然と人がついてくる。行動が最大の説得力。 |
■ ビジネス心得タイトル
「語り、生きる――その香りが信頼を呼ぶ」
理念を持つことは出発点に過ぎない。
それを行動として生きるとき、はじめて周囲に香りが届き、信頼という実が結ぶ。
言葉と行動が一致する人は、それ自体が道しるべとなる。
この第七偈は、言葉と行いの融合こそが、人と社会を動かす力になるという普遍の真理を教えてくれます。
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