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一滴の軽視が、大きな禍を呼ぶ


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■原文(出典:『ダンマパダ』第十七章 第五偈)

「その報いはわたしには来ないだろう」とおもって、悪を軽んずるな。
水が一滴ずつ滴りおちるならば、大きな水瓶でもみたされるのである。
愚かな人々は、少しずつでも悪をなすならば、やがてわざわいにみたされるのである。


■逐語訳

  • 「その報いはわたしには来ないだろう」と思って:今すぐに悪い結果が出ないからといって、
  • 悪を軽んずるな:悪事を取るに足らぬことと思ってはならない。
  • 水が一滴ずつ滴り落ちれば、大きな瓶も満たされる:ほんの小さな積み重ねでも、大きな結果になる。
  • 愚かな人々は、少しずつでも悪をなせば:些細な過ちを繰り返していると、
  • やがて災いに満たされる:ついには不幸や破滅を招く結果となる。

■用語解説

  • 報い:善悪の行為に対する結果、いわゆる「因果応報」のこと。
  • 悪を軽んずる:不正や悪行を小さいことだと侮り、深刻に受け止めないこと。
  • 水瓶(ビンバ):行為の結果が蓄積される象徴的な容器。小さな行いもやがてこの瓶を満たす。
  • わざわい(災い)に満たされる:行為の積み重ねが悪い運命や破綻として現れること。

■全体の現代語訳(まとめ)

「どうせこれくらい大丈夫だろう」と思って悪事を軽視してはならない。
一滴ずつでも水が注がれれば、大きな瓶が満たされるように、
小さな悪行も積み重なれば、大きな災いとなって自分を覆う。
目に見えないところで、自分の運命は形づくられている。


■解釈と現代的意義

この偈は、「小さな過ちの累積」による大きな結果を警告しています。
日々の何気ない妥協、無自覚な不正、他人への小さな不誠実――
こうした積み重ねは、時間をかけて人の信用を失い、やがて大きな禍となって返ってくる。
逆に言えば、「悪を軽んじない意識」が人生と社会の安全装置となるのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
コンプライアンス「これくらい問題ない」と思って行う小さなルール違反が、企業全体の信頼を損なうことにつながる。
日常の倫理顧客への曖昧な説明や、社内の小さな虚偽報告も、いずれ問題が表面化し、大きな信頼崩壊を招く。
組織文化社員一人ひとりの「少しの甘え」や「少しのごまかし」を許容すると、やがて組織全体が腐敗する。
自己管理小さな怠惰や誘惑への屈服が、長期的なパフォーマンスや評価を著しく下げる原因となる。

■心得まとめ

「一滴の悪も積もれば災いの器を満たす」

過ちを「小さいから」と見過ごす心が、やがて大きな不幸を招く。
一滴の水が瓶を満たすように、小さな行為は確実に蓄積される。
だからこそ、日々の選択を軽んじるな。
慎みと誠実さを習慣とする者だけが、災いなき人生を築くのです。


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