目次
📜 引用原文(五*)
目ざめていて、念いを落ちつけ、正気でいて、心を統一安定させ、喜んで、心もちが明らかに澄んでいる者は、適当な時々に正しい教えを熟考して、生れと老い、ならびに憂いをのり超えよ。
🔍 逐語訳・用語解説
- 目ざめていて:眠った意識状態ではなく、「サティ(念)」によって現実を明瞭に認識している状態。
- 念いを落ちつけ:妄想や不安、執着の感情を静めること。瞑想実践の中心。
- 正気でいて:理性と知性が働いており、狂気に陥らないこと(サンパジャーニャ)。
- 心を統一安定させ:集中した穏やかな心(サマーディ)を保つ。
- 喜んで、心もちが澄んでいる:慈しみや喜びによって、心が軽く、明るい状態になる(ピーティとパッサッディ)。
- 正しい教えを熟考して:ダルマ(法)を論理的・直観的に思惟し、自らの体験として理解する。
- 生れと老い、憂いをのり超えよ:人生に避けがたい苦しみ(生老病死)を、精神的成熟によって超えること。
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
心が目覚め、落ち着き、理性と集中を保ち、内側からの喜びと明るさを備えた人は、ふさわしい時にブッダの教えを深く考察し、その理解によって「生まれること」「老いること」「憂えること」という人生の根本的な苦しみを乗り越えることができる。
💡 解釈と現代的意義
この一節は、「覚醒した静かな心」と「知恵による理解」が、人生の避けられぬ苦を超える鍵であると説いています。現代においても、年齢・状況・環境の変化によって不安や喪失に直面する場面は多々あります。しかし、心の状態を整え、教え(原理・哲学)をしっかりと深めることで、苦しみの根本に飲み込まれることなく、乗り越えていく力が育まれるのです。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と実践例 |
---|---|
感情の安定 | 組織内での混乱・退職・変化の渦中でも、「澄んだ心」を保てる人は周囲に安心を与える。 |
教訓を活かす | トラブルや失敗から「正しい学び」を取り出す習慣は、長期的な実践知につながる。 |
リーダーの資質 | 騒がず、怒らず、柔らかく明晰に判断できる人は、上に立つほど信頼を得られる。 |
キャリアの視野 | 「老い」「衰え」への不安も、「生まれて老いるとは何か」を熟考することで恐れが減り、自然に受け入れられるようになる。 |
✅ 心得まとめ
「澄んだ心にこそ、老いも悩みも超える力が宿る」
人生における「避けがたい苦」――それは止めることも変えることもできません。
けれども、心を澄ませ、知恵を深める者は、それに振り回されることなく、生きる力そのものを変化させていくのです。
ビジネスでも人生でも、目覚めた心を磨き続けることこそが、苦を越える真のリーダーシップなのです。
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