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真の偉大さは、知られずとも輝く


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■原文(一三)

たといその修行僧が三種の明知を体現していて、
死を打ちのめした者であり、汚れが無いとしても、
無智なるものどもは、
「かれは人に知られていることが少ない」といって、かれを見下す。


■逐語訳

  • 三種の明知:仏教における「三明」(さんみょう)。過去世の知、天眼による他者の生死の知、煩悩の滅尽を知る智――すなわち覚者の条件。
  • 死を打ちのめした者:死の恐怖・輪廻を超え、解脱した者。悟りを得た存在。
  • 汚れが無い:煩悩・無明・執着を離れた清浄な存在。
  • 無智なるものども:真理を知らず、表面的な価値にとらわれる人々。
  • 人に知られていることが少ない:世間的な名声や知名度、評価がない。
  • 見下す:知名度が低い、影が薄いなどという理由で、その人の真価を理解せずに軽視する態度。

■全体の現代語訳(まとめ)

たとえある修行僧が、仏教の最高の智慧(三明)を備え、生死の恐怖を克服し、すでにすべての煩悩を超えていたとしても――
真理を知らぬ人々は、「あの人は有名でない」「目立たない」と言って、その修行僧を見下す。
つまり、真の価値は、しばしば無知な世間によって過小評価されてしまうのである。


■解釈と現代的意義

この句は、仏教の核心でもある「内実こそが真価である」という姿勢を鮮烈に伝えています。
現代では「知名度」「フォロワー数」「ブランド力」「話題性」が評価軸となりがちですが、仏教はそれらを空虚な外皮と見なします。
本当に価値ある人とは、世に知られなくとも、内面に真理と智慧を備えた者である。
同時に、この句は「知名度が低いという理由で他人を見下す者こそ、無知である」という厳しい反省を私たちに促します。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用
人材評価名前が知られている・声が大きい人が評価されがちだが、目立たずとも誠実に成果を出す人を正しく見る視点が重要。
社内コミュニケーション露出が少ない社員=貢献が小さいと判断せず、「裏方」「静かな貢献」を尊重する文化が必要。
リーダー像カリスマ性ではなく、深い内省と実行力を持った静かなリーダーが、長期的に組織を支える。
ブランドと実質世間の評価や話題性に流されず、製品やサービスの「本当の価値」に目を向ける眼力を持つことが、信頼と成果に結びつく。

■心得まとめ

「知られずとも、偉大である。評判より本質を見よ」

真理を得た者でさえ、名が知られていなければ、無知な者には見下されてしまう――
これは、現代にも通じる鋭い警句です。
他人の評価軸で人を測らず、外よりも中を見る。
そして、自分自身もまた「評価されないから」といって自らを卑下せず、清く誠実に内実を磨く道を選ぶ
それが、智慧ある者の生き方であり、静かな強さを持つプロフェッショナルの姿です。

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