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■原文(四)
在家の人々も出家した修行者たちも、つねにわたくしのことを知れ。
およそなすべきこととなすべからざることについては、わたしの意に従え。
■逐語訳
- 在家の人々:家庭を持ち、俗世に生きる者(一般信者)。
- 出家した修行者たち:世俗を離れ、戒律に従って修行する僧。
- わたくしのことを知れ:仏の教え・本質・存在を正しく理解しなさい。
- なすべきこと/なすべからざること:行ってよいこと・してはならないこと。道徳律・行動規範。
- わたしの意に従え:「仏の意志」=真理・ダルマ(法)に従うこと。
■用語解説
- 仏の意(い):仏陀が説いた法(ダルマ)そのもの。欲望に流されず、慈悲と智慧をもって行動すること。
- なすべき/なすべからざること:仏教においては「十善」「五戒」「八正道」などに代表される道徳基準。
■全体の現代語訳(まとめ)
在俗の者も、出家して修行の道を歩む者も、すべての人は常に「仏の本意」を知り、それを拠り所にして行動を選ぶべきである。
行うべきこと、行ってはならぬこと――その判断の根拠は「自分の欲」ではなく、「仏の法」に求めよ、という厳かな戒めがここには込められている。
■解釈と現代的意義
この句は、宗教者だけでなく一般の人々にも、「行動の基準」を自己都合ではなく普遍の真理に求めよという強い呼びかけです。
現代では「自分で考えて判断する」ことが尊ばれますが、それがただの「自己肯定の道具」となっていないか。
真に大切なのは、自分の都合や損得ではなく、善悪の原則と公共的価値に基づいて決断する姿勢です。
仏の「意に従う」とは、自らを超える高次の価値に身を委ねることでもあります。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈・適用 |
---|---|
経営判断の基準 | 利益や流行に左右されるのではなく、「何が本質的に正しいか」「社会的責任を果たしているか」に照らして行動を選ぶこと。 |
社員育成・行動規範 | 一人ひとりの判断力の根底に、共通する倫理基準(ミッション・バリュー)がなければ、組織はバラバラになる。 |
自己抑制と誠実さ | 欲望や目先の成果に流されず、「なすべきことは何か」に立ち返る習慣が、信頼と継続性を生む。 |
組織文化づくり | 「私利」ではなく「公意」を重んじる文化がある企業は、困難時に強く、長期的に持続可能である。 |
■心得まとめ
「私の欲ではなく、“道”に従う」
人はしばしば「自分に都合のいい正義」を求めてしまう。
だが本来、なすべきこと・避けるべきことの基準は、もっと大きな原理の中にある。
仏の「意」とは、私利私欲を超えた、普遍的な秩序と慈悲のこと。
ビジネスにおいても、真に信頼される組織やリーダーとは、原理原則に従う勇気を持ち、軸をぶらさない者である。
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