目次
📜引用文(第七章 第二)
二*
ことばで過ちを犯さないように、まもり落ち着けよ。ことばについて、慎しんでおれ。
語による悪い行ないを捨てて、語によって善行を行なえ。
🔍逐語訳
- ことばで過ちを犯さないように:他人を傷つけたり誤解を生むような発言をしないこと。
- まもり落ち着けよ:軽はずみに言葉を発さず、沈着冷静であれ。
- ことばについて慎しんでおれ:話す内容・タイミング・態度を常に自制し、注意深くあれ。
- 語による悪い行ない:嘘、悪口、中傷、無駄話など、言葉によって生じる害のある行為。
- 語によって善行を行なえ:励まし、感謝、教え、慰めなど、他者の心を照らす言葉を用いること。
🧩用語解説
- 語業(ごごう):仏教の三業(身・口・意)のうち、「口(ことば)」による行い。言葉は因果を生み出す力をもつ。
- 悪語(あっご):四つの悪口(妄語・綺語・悪口・両舌)を指し、道徳的・社会的障害をもたらす。
- 善語(ぜんご):真実・親切・思いやり・慈しみに満ちた言葉。人を育てる力を持つ。
🧘♂️全体現代語訳(まとめ)
言葉は、人間関係を築く上で最も大きな影響を持つ手段である。だからこそ、過ちを避け、落ち着きと慎みをもって語るべきだ。悪しき言葉を捨てて、他者を勇気づけ、癒し、導くような善い言葉を選び、日々の実践とすべしと説かれている。
📖解釈と現代的意義
現代は、SNSやメール、チャットなど言葉の影響力がかつてないほど拡大しています。その中で、軽率な発言が炎上や誤解を生み、人間関係や社会的信用に大きな損失をもたらします。
この教えは、「ことばには力がある」ことを強調し、心の清らかさは、まず言葉の慎みに現れることを示しています。黙して語らずではなく、慎んで語る。その境地が、成熟した人格を築く基盤です。
💼ビジネスにおける応用
視点 | 適用例 |
---|---|
コミュニケーション | 批判ではなく建設的なフィードバックを心がけることで、職場の信頼関係が深まる。 |
クレーム対応 | 顧客の怒りに対して、冷静で誠実な言葉を返せる人は、組織の信用を守る。 |
リーダーシップ | 鼓舞・共感・指針を示すリーダーの一言は、チームを動かす原動力になる。 |
パブリック・スピーチ | 発言はその人の人格と組織の品格を映す。慎みと誠意ある発言が、信頼を醸成する。 |
🧭心得まとめ(座右の銘風)
「口は刃にもなり、光にもなる」
怒りに任せた一言は、人を深く傷つけ、信頼を崩す。
慈しみと真心の言葉は、心に灯をともす。
日々、語る前に思い、聞くように話す――それが言葉の道を極める第一歩である。
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