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📖 引用原文
(他人を)訓戒せよ、教えさとせ。
宜しくないことから(他人を)遠ざけよ。
そうすれば、その人は善人から愛せられ、悪人からは疎まれる。
——『ダンマパダ(法句経)』第5章 第二十六句
🧩 逐語訳
- 訓戒せよ、教えさとせ。
過ちに気づいたときは、他人にそれを知らせ、正しい道を教え導きなさい。 - 宜しくないことから(他人を)遠ざけよ。
誤った行為・不善なる態度から、人を引き離すように努めなさい。 - そうすれば、その人は善人から愛せられ、悪人からは疎まれる。
そうすれば、善なる人々からは敬われ、悪しき者たちからは煙たがられるだろう。
※しかし、それはむしろ誇るべきことでもある。
🔍 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
訓戒(くんかい) | 正しく導くために、過ちをやさしく諭すこと。厳しさと慈悲を兼ね備えた行為。 |
教えさとす | 理解を促すために言葉や行動を通して真理を伝えること。 |
宜しくないこと | 悪行・不正・不道徳。人や自分を傷つける行為や態度全般。 |
善人 | 真理を尊び、誠実に生きようとする者たち。 |
悪人 | 私利私欲に動かされ、他者を害することをいとわない者たち。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
他人の誤りに気づいたときは、黙って見過ごすのではなく、
その人が正しく歩めるように助言し、誤った道から遠ざけてあげなさい。
そのような誠実な態度は、善き人々からは敬愛される一方で、
不正を好む者たちからは避けられるだろう。
しかしそれこそ、正義と真理を貫く人の証である。
🧠 解釈と現代的意義
この句は、**「真の優しさとは、時に厳しさを伴うものである」**ことを教えています。
人の過ちに気づいても、波風を立てたくないからと沈黙してしまうことがあります。
しかし、それはかえって相手を堕落へ導く行為ともなり得ます。
真に相手の成長や幸福を願うならば、
ときに勇気を持って、誤りを正す言葉をかけることが必要です。
それは難しいことですが、結果的に人としての信頼や尊敬を勝ち得る行動となるのです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
チームマネジメント | 部下や同僚の誤りに気づいたとき、放置せず、丁寧に背景を伝えながら改善を促す指導が求められる。 |
組織文化 | 「見て見ぬふり」ではなく、ミスや不正を建設的に指摘し合える文化が健全な組織を支える。 |
コンプライアンス | ルール違反や倫理的逸脱に対して、早期に注意喚起・是正指導ができる体制を整えることが重要。 |
リーダーの姿勢 | 人気取りではなく、長期的な信頼と成長のために、必要なときに厳しい言葉も辞さない姿勢が尊ばれる。 |
🧭 心得まとめ
「優しさとは、真実を伝える勇気である。
善き者はその誠実さを愛し、悪しき者はそれを恐れる」
本当に相手を思いやるなら、
ただ慰めたり肯定したりするだけでは足りません。
ときに、相手の耳に痛くても、真実を伝える強さが求められます。
それができる人は、周囲にとっても、自分自身にとっても、
「真の価値ある存在」として輝くのです。
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