目次
📖 引用原文
もしも自分を愛しいものだと知るならば、よく心がけて自己を守るべきである。
辺境にある、城壁に囲まれた都市が内も外も堅固に守られているように。
——『ダンマパダ(法句経)』第5章 第十六句
🧩 逐語訳
- もしも自分を愛しいものだと知るならば、
自分の命や心、人生をかけがえのないものと知るなら、 - よく心がけて自己を守るべきである。
内面的な姿勢と行動に注意を払い、慎重に自分を律しなければならない。 - 辺境にある、城壁に囲まれた都市が内も外も堅固に守られているように、
外からの敵だけでなく、内からの反乱や破綻にも備えるように、
自分という存在も、外の誘惑と内なる煩悩の両方に対して防御を固める必要がある。
🔍 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
自己を守る | 単に安全確保ではなく、内なる心・徳・判断・行動を整えることを含む。 |
城壁 | 防衛の象徴。ここでは規律・正念・戒・知恵を表す。 |
内も外も | 外=誘惑・環境要因。内=怒り・執着・慢心など自分の心の作用。 |
辺境にある都市 | 危険や不安定さにさらされやすい立地の象徴。現代では個人の心や社会の不確実性を表す比喩とも読める。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
自分をかけがえのない存在として大切に思うならば、
安易な気持ちで自分を危うくしてはいけない。
ちょうど、外敵に囲まれやすい辺境の都市が、
内側(裏切りや混乱)にも、外側(侵入や破壊)にも堅牢な備えをするように、
心の内外の両方を整え、守りを固めることが必要である。
🧠 解釈と現代的意義
この句は、「心のガードは内と外の両方に必要である」という深い智慧を示しています。
現代社会では、外からの誘惑(消費・娯楽・SNS・承認欲求)だけでなく、
内から湧き出す怒り・欲望・自己否定・慢心といった**「内敵」**が心の平穏を脅かします。
仏教は「外の敵を責める前に、内なる敵を見よ」と説き、
本句もまた、「自己防衛とは、内と外を同時に管理することである」と明示しています。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
リーダーの自己統制 | 部下の批判や外部の圧力だけでなく、自身の怒りや不安にもしっかり向き合って対応する姿勢が必要。 |
組織文化 | 外の競争環境に対する戦略だけでなく、内なる人間関係の信頼・理念の明確さ・疲弊の蓄積などへの配慮が求められる。 |
感情マネジメント | 外部のトラブル(顧客対応など)と、内部の感情(苛立ち・疲労・自信喪失)両面のケアが自己保全に必要。 |
危機管理 | セキュリティ対策においても、外部侵入(情報漏洩)と内部要因(操作ミス・不正)両方の管理が欠かせない。 |
🧭 心得まとめ
「真に自分を守るとは、内と外の敵を見抜き、備えること」
自分を愛する者は、自己を甘やかすのではなく、整えるのです。
誘惑に対しては境界線を、怒りや慢心には自省を――
外からの破壊と内からの崩壊、両方に備えよというこの教えは、
現代のビジネスや生活においてもそのまま通じるセルフマネジメントの核心です。
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