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自分を愛するとは、心を護る砦を築くこと


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📖 引用原文

もしも自分を愛しいものだと知るならば、よく心がけて自己をまもるべきである。
辺境にある、城壁に囲まれた都市が堅固に奥深く濠をめぐらされているように。
賢い人は、夜の三つの区分のうちの一つだけでも、つつしんで目ざめておるべきである。

——『ダンマパダ(法句経)』第5章 第十五句


🧩 逐語訳

  • もしも自分を愛しいものだと知るならば、
     自分の命・心・人生を大切に思うのであれば、
  • よく心がけて自己をまもるべきである。
     注意深く、自分の行動・言葉・心を管理し、悪に近づかないよう努めるべきである。
  • 辺境にある、城壁に囲まれた都市が、堅固に奥深く濠をめぐらされているように。
     外敵から都市を守るために築かれた堅固な守りのように、
     自己もまた防御を固め、無防備になってはならない。
  • 賢い人は、夜の三つの区分のうちの一つだけでも、
     一晩を三つに分けたうちの一部でもいいから、
  • つつしんで目ざめておるべきである。
     自己を律し、気づき(正念)を保って目覚めていることが大切である。

🔍 用語解説

用語解説
自己をまもる身体的安全だけでなく、心の清らかさ・道徳・判断力を保つこと。
城壁・濠自己を守るための比喩。自制心・習慣・正念・戒律などを意味する。
夜の三つの区分古代インドの時間区分(初夜・中夜・後夜)。24時間のうち8時間ずつの三分割。
目ざめておる文字通りの「起きている」ではなく、仏教では「気づいている」「正念を保つ」ことを意味する。

🗣 全体の現代語訳(まとめ)

自分自身を本当に大切に思うなら、
自己を放任せず、日々の行いに注意を払い、
心を見張るようにして生きるべきである。
ちょうど、辺境の都市が外敵に備えて、城壁と堀で防御を固めるように。
賢明な人は、たとえ夜のわずかな時間だけでも、
油断せず、目覚めた意識(自省)で自らを律しているものだ。


🧠 解釈と現代的意義

この句は、**「自己を守ること=心の堕落を防ぐこと」**であるという仏教の内面的警戒心の大切さを説いています。
外からの攻撃以上に、内側から生じる怠惰・煩悩・慢心こそが、自己崩壊の最大の原因です。

現代では、無意識にSNS・娯楽・過労・他人の評価などに心を明け渡し、
「気づけば疲れ果てている」「心が荒れている」ことも多くあります。
この句はそうした状況に対して、「あなたの心に砦と堀を持て」と呼びかける一句です。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
タスク管理外的なノイズに振り回されるより、自分の優先順位を明確にし、「心の砦」で守ることが重要。
判断の自律性他人の期待や流行に迎合せず、自分の価値観と目的を守ることで、ブレない判断ができる。
メンタルヘルス毎日数分でも自己を振り返る時間(ジャーナリング、瞑想など)を持つことが「夜の目覚め」にあたる。
リーダーシップリーダーは部下を守る前に、まず自分の感情や判断を律することでチームの信頼を得られる。

🧭 心得まとめ

「心に堀をめぐらせ。自分を守ることが、人生を守ること」

自分を愛するとは、心の中に城を築くことです。
その城は、誘惑に揺れず、怒りに巻かれず、迷いに沈まないように――
注意深さ・節度・内省という石材で築かれるべきものです。
たとえ一日のわずかな時間であっても、
目覚めた意識を保ち、自らを見張り、整えることができるなら、
その人は、人生のあらゆる難を超えていく力を手に入れるのです。


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