目次
📖 引用原文
もしも自分を愛しいものだと知るならば、自分を悪と結びつけてはならない。悪いことを実行する人が楽しみを得るということは容易ではないからである。
——『ダンマパダ(法句経)』第5章 第十三句
🧩 逐語訳
- もしも自分を愛しいものだと知るならば、
自分自身の命・人生・尊厳を大切に思うならば、 - 自分を悪と結びつけてはならない。
自分自身を、悪しき行い・悪しき思考・悪しき環境に近づけてはならない。 - 悪いことを実行する人が楽しみを得るということは、
不正や非道な行為に身を染める人が、心からの喜びを得ることは、 - 容易ではないからである。
一見、利得や快楽があるように見えても、それは持続せず、内心には不安や苦悩が付きまとう。
🔍 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
自分を愛しいものと知る | 自分の命や尊厳を大切に思うこと。 |
結びつけてはならない | 交わる、関係する、依存する、関与することを戒める語。 |
悪いこと | 他者を傷つける行為、自己欺瞞、不正、傲慢、無慈悲など。 |
楽しみを得る | 心の平穏、満足、安定した幸福感を得ること。表面だけの快楽ではない。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
もしあなたが自分を大切に思うのなら、
悪しきことに自分を近づけてはいけない。
なぜなら、悪を行って得られる喜びは偽りであり、
真の意味での平穏や幸福を得ることは、
決してたやすいことではないからである。
🧠 解釈と現代的意義
この句は、「自分を大切にすること」と「倫理的であること」は不可分であると説いています。
現代社会では、「自分らしく」「自己肯定」といった言葉がよく使われますが、
それが単なる甘やかしや自己中心で終わらないためには、
**「悪しきものから自分を遠ざける自律心」**が必要だということを、この句は教えています。
つまり、「悪を避けることは、他人のためである前に、自分のため」なのです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
倫理観と自尊心 | 裏取引やごまかしを一時的に正当化しても、後に信用と自己尊重を失う。 |
短期利益と長期損失 | 一時の利得(脱税、不正契約、嘘の報告)は、後に大きな代償と内面的ストレスを生む。 |
自己保全 | パワハラや不正を見て見ぬふりすることも「悪と結びつく」ことであり、自分の良心を摩耗させる。 |
若手育成 | 「信頼される人になりたければ、まず自分の行いを律しなさい」という教育指針に。 |
🧭 心得まとめ
「自分を愛するなら、悪に近づくな。悪は心を蝕み、尊厳を奪う」
自己肯定感とは、都合よく自分を甘やかすことではない。
「自分を大切にしたい」と思うのなら、悪しき行為・環境・思考からは毅然と距離を置くべきだ。
悪に染まれば、どんなに物が手に入っても、心は安らかにならない。
「自分を愛する」とは、良き選択を続けるということである。
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