■ 引用原文(日本語訳)
さあ、奮い立て。外へ出て行け。
仏の御教えにつとめよ。
死王の軍勢を追い払え。
象が葦の生えている住居を出て行くように。
――『ダンマパダ』第四章「はげみ」第37節
■ 逐語訳(一文ずつ現代語訳)
- さあ、奮い立ちなさい。
怠け心を捨て、気力を出して立ち上がれ。 - 外へ出て行きなさい。
自己の内に閉じこもらず、行動を起こせ。 - 仏の教え(ダルマ)を実践しなさい。
真理に沿った生き方・努力を始めよ。 - 死王(=死の支配者、怠惰・無明)の軍勢を追い払え。
無気力・煩悩・迷妄という死に向かう流れを断て。 - 象が葦の生えている住居を出て行くように。
大きな決意をもって、混沌とした心の領域から抜け出せ。
■ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
奮い立て(ウッティッタ) | 立ち上がり、意志を奮い起こすこと。 |
外へ出て行け(パブブラージャ) | 内面の怠惰や迷いから抜け出し、道(実践)に向かうこと。出家にも重なる表現。 |
仏の教え(ダルマ) | 仏陀が説いた真理。正しく生きるための法則。 |
死王(マラ) | 仏教で、死や煩悩・誘惑の象徴。精神的成長を妨げる力。 |
象が住居を出る | 力強く、決意を持って古い状態から抜け出す比喩。 |
■ 全体の現代語訳(まとめ)
今こそ立ち上がり、惰性や迷いから抜け出しなさい。
仏の真理に基づいた行いを始め、
死や堕落をもたらす怠惰の軍勢を打ち払うのだ。
それは、しなやかで強靭な象が、
狭く不浄な住処から力強く抜け出す姿のようである。
■ 解釈と現代的意義
この節は、**「変化の第一歩は決意である」**という強いメッセージを持っています。
誰もが怠けや迷いに囚われがちな日常の中で、
そこから抜け出すためには、外部の変化ではなく“内なる決起”が必要であると教えています。
象が自らの意志で住処を出るように、
私たちもまた、惰性に甘んじた場所から自ら動いて抜け出すこと。
それが、自立と成長の鍵となるのです。
■ ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
変化への第一歩 | 仕事や人生の停滞感は、外因ではなく、自らの決起によって打破される。まず「動き出す」ことが重要。 |
挑戦の姿勢 | 安定や安全に慣れきった環境から、自発的に抜け出して挑戦する人こそ、組織の推進力となる。 |
学びと行動の両輪 | 仏の教え=理念や知識。それを「行動」に移すことが、はじめて自己変革につながる。 |
惰性からの脱却 | 「ぬるま湯」のような環境から抜け出す勇気と行動が、自己革新の礎となる。 |
■ 心得まとめ
「象のように、強く、静かに、惰性を超えよ」
今ここで、心を決めて立ち上がる――
それだけで、死王の軍勢は退き、道は開ける。
ぬるい安心に留まらず、
自らの意思で“動き出す”とき、
人生は仏法に照らされて、真の安楽へと向かい始める。
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