■ 引用原文(日本語訳)
多く説くからとて、そのゆえにかれが道を実践しているのではない。
この世でたとい教えを聞くことが少なくても、
身をもって真理を体得する人、怠って道からはずれることの無い人――
かれこそ道を実践している人なのである。
――『ダンマパダ』第四章「はげみ」第21節
■ 逐語訳(一文ずつ現代語訳)
- 多くの教えを語る者がいたとしても、
知識をたくさん話せるからといって、 - それだけでは「実践者」とは言えない。
言葉の巧みさだけでは、真理を歩んでいるとは判断できない。 - たとえ教えを少ししか聞いていなくても、
知識が乏しくても、 - 自らその真理を実践し、
言葉ではなく行動で、法(ダルマ)を生きている者、 - 怠らず、道からそれることのない者こそ、
継続して努力し、仏道から外れない者こそが、 - 真の「道を実践している者」と呼ばれるのである。
■ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
説く(バーヒラ・バーナ) | 教義・経文などを他者に語ること。知識の共有。 |
実践(パティパンナ) | 実際に生活・行為を通じて真理を生きること。体験的理解。 |
教えを少なく聞く(アルパ・ストラ) | 知識が少なくても、内面的な理解・行動が伴う者への肯定。 |
怠らず(アパマーダ) | 常に気づきを保ち、修行を怠らない姿勢。 |
道(ダルマ・マールガ) | 仏教の真理に基づく実践的な生き方のこと。 |
■ 全体の現代語訳(まとめ)
たくさんの経典を説いたとしても、
実際にその内容を日々の行いに生かしていなければ、
その人は「道を実践している」とは言えない。
一方で、知識が少なくても、
真理を自らの身で体得し、怠らずに実践し続ける人――
その人こそが、仏道を歩んでいる「本物の修行者」である。
■ 解釈と現代的意義
この節は、**「知識よりも実行、言葉よりも行動」**の尊さを強く説いています。
現代においても、立派な言葉を口にしながら、それに見合う行動を伴っていない例は多く見られます。
大切なのは、どれだけ知っているか、どれだけ語れるかではなく、
「それをどれだけ体現しているか」――この一点に尽きます。
小さな行動の積み重ねこそが、真の学びであり、人格であり、信頼です。
■ ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
リーダーシップの本質 | 美辞麗句ではなく、自ら行動し、範を示す人が組織を動かす。 |
実行力の信頼 | 会議での意見よりも、日々の責任ある行動が信頼をつくる。 |
学びの質 | 知識の量より、学んだことをどう活かし続けているかが成長の鍵。 |
プレゼンと現場の一致 | 理想や戦略を語る力も重要だが、それを「現場で実現しているか」が評価される時代。 |
■ 心得まとめ
「道は語るものではない。歩む者にこそ、真理は宿る。」
知識は道具にすぎない。
それをどう使い、どう生きるかが、
その人の本質をあらわす。
見せかけではなく、静かに行動し続ける者だけが、
真に「仏道を実践する人」であり、
社会に信頼と変化をもたらす存在となるのです。
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