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正道を離れた者は、やがて深く悔いる


■ 引用原文(日本語訳)

譬えば車夫が平坦な大道を捨てて、凹凸ある道をやって来て、
車軸を毀してはげしく悲しむように、

――『ダンマパダ』第四章「はげみ」第17節


■ 逐語訳(一文ずつ現代語訳)

  1. たとえば車夫が、平らで安全な大道を避けて、
     明るく整備された正しい道を進まず、
  2. でこぼこで危険な道を選んで進んだとする。
     困難や危険が予想されるのに、愚かにもそちらに進んだとすれば、
  3. その結果、車軸を壊してしまい、
     大切な装置を失い、機能が破綻してしまう。
  4. 深い悲しみに包まれるように、
     過ちに気づいた時には、すでに大きな損失が生じており、後悔と嘆きが残る。

■ 用語解説

用語解説
車夫(サーラティ)自分の人生や心を導く象徴的な存在。
大道(マハーマーガ)仏法・道徳・理性に基づく正しい生き方。
凹凸ある道(ヴィサマ・パッタ)欲望・無知・不道徳など、危険や困難に満ちた道。
車軸(アクシャ)比喩的に「生命」「心の中心」「支えとなる価値」の象徴。
激しく悲しむ(アティヴィヤーソ)過ちの大きさと結果の深刻さに、後悔と嘆きを抱くこと。

■ 全体の現代語訳(まとめ)

これは、「正しい道を避け、欲や迷いの道を選んだ者の末路」をたとえたものです。
安全で平和な道が用意されていたにもかかわらず、軽率に険しく誤った道を進めば、
やがては大きな損失を被り、手遅れになってから激しく後悔することになる。
その後悔は、心の奥底から沸き起こる激しい悲しみとなる。


■ 解釈と現代的意義

この節は、「愚かな選択の代償と、後悔の深さ」を強く警告しています。
私たちはしばしば、わかっていながら困難な道や不適切な選択をしてしまいます。
誘惑、過信、近道への欲求――これらが理性を曇らせ、正しい道から外れてしまう。
しかし、失ったものは戻らず、後悔だけが残ることもあるのです。
それゆえに、「最初の選択」こそが人生を左右する最重要の瞬間であると、仏教は教えます。


■ ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
倫理的判断の重要性目先の利益にとらわれてルールや信頼を破ると、後で取り返しのつかない損失を招く。
長期視点での選択近道や裏技に頼るのではなく、正攻法で積み上げる方が、結果としては安定と成果をもたらす。
慎重な意思決定感情や勢いに任せた決断は、後々まで尾を引く失敗になることがある。情報と熟考を大切に。
リスク管理安全策(大道)を無視して高リスクな施策をとれば、失敗時の損失は甚大。準備と選択は慎重に。

■ 心得まとめ

「誤った選択は、後に悔いても戻らない。」

選ぶべき道が見えているときこそ、
誘惑や近道に負けず、理性と誠実さをもって選び取ること。
一度外れた道を進めば、後悔は大きく、失ったものは戻らない。
静かに、確かに、「正しき道」を歩む者こそ、真の賢者である。


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