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愛欲を断てば、憂いは露のように消える


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📜 引用原文(日本語訳)

この世において極めて断ち難いこのうずく愛欲を断ったならば、
憂いはその人から消え失せる。
水の滴が葉から落ちるように。
――『ダンマパダ』 第三章「愛執」より(一〇)


🔍 逐語訳・語句解説

  • 極めて断ち難いこのうずく愛欲:人間の本能に根ざす欲望のエネルギー。特に強く執着を伴うもの。
  • 断ったならば:理性と修行によって、その欲望の根本を克服した場合。
  • 憂いは消え失せる:苦悩・不安・混乱などの心の悩みが、自然と消えていくこと。
  • 水の滴が葉から落ちるように:まったく抵抗なく、自然に、静かに、苦しみが離れていくさまの比喩。力まず、清らかに。

💬 全体現代語訳(まとめ)

この世において、誰もが心の奥に抱える強くて断ちがたい欲望――それを、勇気と智慧によって断ち切ることができたならば、その人の心からは、あらゆる憂いが自然と離れていく。それは、葉の先にとどまっていた水滴が、ある瞬間、すっと落ちていくように――苦しみは音もなく消えるのである。


🧭 解釈と現代的意義

この節は、**「愛執の克服こそが、心の平安への鍵である」というダンマパダの核心的教えを、自然の美しい比喩を用いて描いています。
「断つ」とは力ずくで押さえ込むことではなく、「見極め、手放す」こと。
それが達成されたとき、苦しみは努力せずとも自然と離れていく――
“努力の末に得る無努力”**ともいえる境地です。

現代社会は、欲望を煽る刺激に満ちています。物質・関係性・承認・情報――いずれも、気づかぬうちに「欲しがる心」を育てます。
しかし、それらの根源に気づき、執着を手放すと、内なる静けさがよみがえる。それは「悩みが解決した」のではなく、「悩みそのものが消えた」状態です。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
心の切り替えと俯瞰力トラブルや失敗に執着せず、「今ここ」に心を戻すことで、憂いは自然と離れていく。
長期視点での判断力「すぐに欲しい」「もっと得たい」という焦燥的な意識を手放すことで、長期的な視野と冷静な戦略眼が育つ。
社内文化の健全性競争と欲望の煽りではなく、心の安定と信頼を基盤とした環境づくりが、結果的に高い成果を生む。
リーダーの内的静寂欲や執着に翻弄されないリーダーは、状況に振り回されず、部下や組織に安心感を与える「軸」となる。

🪷 心得まとめ:感興のことば

「欲を断つとき、憂いは静かに去る。
葉から滴が落ちるように、心は軽くなる」

ブッダはここで、**「努力ではなく、手放しによる解放」**を語っています。
愛執を克服した者にとって、もはや悩みは問題ではなく、「存在していたが消えるもの」となります。
それは、がんばって解決するのではなく、自然に心から離れていく現象なのです。

この境地をめざすことは、現代の働き方や生き方においても、極めて価値ある実践です。


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