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愛執を離れた者は、風のように自由である


目次

📜 引用原文(日本語訳)

しかしこの世において愛執を捨てて、
移りかわる生存に対する愛執を離れ、
愛執の消え失せた修行僧は、
欲求することなく、ときほごされている。
――『ダンマパダ』 第三章「愛執」より(八)


🔍 逐語訳・語句解説

  • 愛執を捨てて:欲望や執着を意志によって手放し、心から離れること。
  • 移りかわる生存に対する愛執:輪廻(生まれては死に変わる生存)そのものへの執着。生への固執。
  • 修行僧(比丘):真理を求めて戒・定・慧を修する者。ここでは解脱の道を歩む者の象徴。
  • 愛執の消え失せた:心の中にいかなる欲望・執着も残っていない状態。
  • 欲求することなく:外界に何も求めない、完全な満足と静寂の境地。
  • ときほごされている:「解きほぐされている」=束縛をすべて断ち切って自由であるさま。

💬 全体現代語訳(まとめ)

この世にありながらも、愛執を断ち、輪廻そのものに対する執着さえも超えてしまった者――その人は、もはや何ものをも欲せず、何ものにも縛られない。
心は澄み、欲望は消え去り、完全なる解放(ときほごし)を得ている。これこそが、真に自由な存在である。


🧭 解釈と現代的意義

この節は、「人間が目指しうる究極の精神的自由の姿」を描いています。愛執を断つとは、単に欲望を抑えることではなく、欲望の根を見極め、その根本から手放すことです。
そうしてはじめて、人は「求めない」という境地
に到達します。それは諦めではなく、満ち足りた静けさにほかなりません。

現代人にとって、これは非常に難しくもあり、しかし非常に価値ある目標です。
「もっと得たい」「もっと認められたい」「まだ足りない」――そうした思考の連鎖を断ち、いまこの瞬間に完全に満ちるという在り方は、精神の最上の自由です。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
欲求に振り回されない経営者像他者との比較や短期的成果への渇望を超え、自社の理念と本質に従って意思決定できる人物は、組織に深い安定感をもたらす。
ミニマリズムな仕事観「より少なく、しかし本質的に」働く姿勢は、執着を手放し、集中と持続可能性を高める。
組織の精神的安全性「欲しがらない・競わない」文化を育てることで、社員一人ひとりの創造性と内発的動機が花開く。
心の余白がイノベーションを生む常に何かを「追いかけている」状態ではなく、心が静まり観察的であるときにこそ、新しい発想が自然に生まれる。

🪷 心得まとめ:感興のことば

「求めることなき者は、縛られない。
欲を手放したとき、心は真に自由となる」

『ダンマパダ』第8節が描くのは、「何も求めず、何も恐れず、ただ在る」――そんな在り方の究極形です。
愛執を断った者の心は、海のように静かで、風のように自由です。
ビジネスにおいても人生においても、「あれがなければ不幸だ」という心の条件付けを断ち切ることこそが、成熟の証なのです。


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