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快楽の蔓は、老いと死を咲かせる


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📜 引用原文(日本語訳)

人の快楽ははびこるもので、また愛執で潤おされる。
実に人々は歓楽にふけり、楽しみをもとめて、
生れと老衰を受ける。
――『ダンマパダ』 第三章「愛執」より(五)


🔍 逐語訳・語句解説

  • 快楽ははびこる:快楽の欲求は、次第に増大し、あらゆるところに広がっていく。
  • 愛執で潤おされる:その快楽は、愛着や執着によってさらに肥やされる。欲望が欲望を呼ぶ。
  • 歓楽にふける:快楽を貪り、そこに心を溺れさせること。
  • 楽しみを求める:外界に対象を求めて、永続的な満足を得ようとする心の傾向。
  • 生れと老衰を受ける:輪廻の根本原因である「執着」により、再び生まれ、老い、死ぬという苦の連鎖に入る。

💬 全体現代語訳(まとめ)

人は快楽を追い求め、その快楽に対して強い愛執(執着)を抱くようになる。その結果として、心はさらに欲望に浸されていき、楽しみを求めて外界にさまよう。だが、それによって得られるのは一時の快だけであり、結局は生と老い、苦しみの繰り返し――すなわち輪廻の苦に繋がってしまう。


🧭 解釈と現代的意義

この節は、快楽=幸福という現代的通念に対して鋭い警鐘を鳴らしています。私たちは「楽しいこと」「気持ちよいこと」「成功体験」に耽溺し、それが人生の目的のように錯覚します。しかし、その快楽は一時的なものであり、飽き、さらに強い刺激を求め、次第に欲望の渦に巻き込まれていきます。

このサイクルが続く限り、私たちは心の安らぎを得られず、**「足りなさ」と「老いへの恐怖」に苛まれる」**のです。ブッダは、その根本にあるのが「快楽への執着」だと見抜き、そこから離れることで真の自由が得られると説いています。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
インセンティブ依存の危険性報酬・称賛・利益などの“快楽”に頼った働き方は、やがてモチベーションの空洞化や燃え尽き症候群を招く。
顧客満足の本質的追求「楽しさ」だけを追求した商品・サービスは短命になりやすい。本質的価値・信頼を重視した戦略が長期的成果につながる。
組織内のエンタメ化の限界社内の“楽しい文化”も行き過ぎれば現実逃避となり、生産性の低下を招く。
キャリア選択の軸「楽そう」「儲かりそう」といった一時的快楽を基準にすると、成長や納得感から遠ざかる可能性が高い。

🪷 心得まとめ:感興のことば

「快楽に満たされし者は、
やがて老いと死の門を叩く。
足るを知る心のみが、真の自由を与える」

私たちの心はしばしば、快楽という甘い蜜に誘われます。しかしそれに酔えば酔うほど、執着の根は深くなり、抜け出せぬ苦しみの道を歩むことになります。
ブッダは、「楽しさ」に振り回される生き方ではなく、「静けさ」や「節度」「知足」を重視することこそが、老いや死に対しても動じない、真の精神的成熟であると教えているのです。


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