目次
📜 引用原文(日本語訳)
一六*
愚人は享楽のために害される。
しかしこの世で自己を求める人々は害されない。
享楽を妄執するがゆえに*、愚者は他人をも自分をも害う。
📖 逐語訳(意訳含む)
- 愚かな者は、快楽(享楽)を追い求めるあまりに、かえって自らを傷つけてしまう。
- しかし、真に自己を探求し成長しようとする者は、
- そうした害を受けることはない。
- 快楽への妄執(しつこい執着)のゆえに、
- 愚か者は他人を巻き込み、自分自身すらも傷つけるのだ。
🧩 用語解説
- 愚人(ぐにん):理性や智慧に欠ける者。瞬間の欲望に流されやすい人。
- 享楽(きょうらく):感覚的な快楽、娯楽、物質的充足を中心とした生き方。
- 妄執(もうしゅう):根拠のない強い執着。見境のない思い込み。
- 自己を求める人々:真理・自己理解・精神的成長を目指す人。仏教における「求道者」。
- 害う(そこなう):心身や関係、倫理や人生の方向性を損なう行為。
🪞 全体の現代語訳(まとめ)
享楽を貪る者は、それによって人生を誤り、結果として自他ともに傷つけることになる。だが、精神的成熟を目指し、自己の本質を求める者は、そうした誤った欲望に支配されることはなく、自他を害することもない。愚者は妄執ゆえに苦しみを深め、智者はそれを離れて安穏に至る。
🧠 解釈と現代的意義
この章句は、「享楽至上主義」がもたらす自己崩壊と他者への害を強く警告しています。現代でも、目先の快楽に心を奪われた結果、人間関係が壊れたり、健康を損ねたり、社会的信頼を失ったりするケースは少なくありません。逆に、人生の本質や真の目的を見つめる人は、一時的な誘惑に翻弄されず、静かで持続的な幸福を築くことができるのです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用例 |
---|---|
短期志向 vs 長期志向 | 売上や評価などの“目先の快楽”に固執すると、組織や信頼が損なわれる。使命・理念に立脚した判断が重要。 |
企業倫理 | 利益のために手段を問わない行動は、自社にも顧客にも悪影響をもたらす(炎上・信頼失墜)。 |
リーダーのあり方 | 自らの快や欲に流されるリーダーは、組織に害をもたらす。自己を見つめ続ける者が周囲を導く力を持つ。 |
チームマネジメント | メンバーの短期的満足だけを追うと組織が空洞化する。成長と学びに向かう動機づけが健全さを生む。 |
🧭 心得まとめ(座右の銘風)
「欲に耽れば、己を滅ぼす。真を求めれば、皆が生きる。」
快楽に心を任せることは、一瞬の甘さと引き換えに、長い苦しみを招く。
だが、己を見つめる歩みは、静かに、確実に、生を育てる道となる。
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