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愛欲に流されず、流れに逆らって生きる者


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📜 引用原文(日本語訳)

九*
実に欲の生じた人は、汚れが漏れ、心が濁り汚れているであろう。
諸の愛欲に心の礙(さまた)げられることのない人は、〈流れを上る者*〉とよばれる。


📖 逐語訳(意訳含む)

  • 欲が生まれた者は、その心に汚れが生じ、澄んだ状態から遠ざかっていく。
  • 愛欲に心をとらわれず、妨げられることのない者――
  • そのような人は、世俗の流れに逆らって上る者、「流れを上る者」と呼ばれる。

🧩 用語解説

  • 汚れ(けがれ):仏教においては煩悩・欲望などにより、清浄な心が乱れる状態を指す。
  • 漏れ(ろう):仏教語で「煩悩が漏れる」、つまり制御しきれずに心外へとあふれ出すこと。
  • 愛欲(あいよく):所有・快楽への執着。心を乱す欲望の一形態。
  • 礙(さまたげ):障害・妨げ。煩悩や愛着が心の自由や智慧の発現を妨げること。
  • 〈流れを上る者〉(ウッダム・ソータン):サンスクリットで「ud + srotas」=「流れに逆らって上昇する者」、すなわち煩悩や世俗に流されずに生きる修行者・覚者。

🪞 全体の現代語訳(まとめ)

欲望を抱けば、その心には穢れが生じる。汚れた水が澄んだ水を濁すように、愛欲は心の清らかさを損なう。しかし、そうした愛欲に心を妨げられない者――つまり、世間の欲望という川の流れに抗って進む者は、尊敬される修行者「流れを上る者」と呼ばれるのである。


🧠 解釈と現代的意義

この章句は、世間の価値観や流行、欲望の波に流されない姿勢こそが尊い修行であると説いています。現代社会では、快適さ・成功・承認・快楽といった“下流への流れ”が絶え間なく人を引き込もうとします。それに抗して、自らの意志で生きる者こそが、本当の意味での「修行者」であり、自由人なのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
流行や風潮への耐性トレンドや他社の成功事例に安易に追随せず、自社の理念・価値観を守る姿勢が持続的成長を支える。
誘惑に負けない経営短期的な利益・快楽・表面的な成果に流されず、中長期の信頼構築を優先する判断力。
リーダーシップの本質周囲の評価に左右されず、部下や組織を真の目的に向かわせる「逆流型」のリーダー像。
自己の確立他人の目や称賛に依存しない働き方をすることで、自律的な意思決定と心の平穏が得られる。

🧭 心得まとめ(座右の銘風)

「流れに逆らう者こそ、岸に辿り着く。」
愛欲や煩悩に流される心は、深く濁っていく。
だが、清らかな心を保つ者は、流れに逆らいながらも、確かな目的へと至る。


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