目次
📜 引用原文(日本語訳)
三*
快楽から憂いが生じ、快楽から恐れが生じる。
快楽を離れたならば、憂いが存在しない。
どうして恐れることがあろうか?
📖 逐語訳(意訳含む)
- 「快楽は、やがて憂いをもたらす。」
- 「快楽は、やがて恐れをもたらす。」
- 「もし快楽を手放せば、憂いはもはや存在しない。」
- 「そのとき、恐れることなど何があろうか?」
🧩 用語解説
- 快楽(かいらく):肉体的・精神的な喜びや快い感覚。仏教では「五欲」などの対象とされる。
- 憂い:快楽が失われることや満たされないことへの悲しみ・不満。
- 恐れ:快楽を失うことに対する不安・怯え。
- 離れる:外的な対象から距離を置くことよりも、内面の執着を解くことを意味する。
🪞 全体の現代語訳(まとめ)
快楽は一見、幸せに見えるが、その背後には「失いたくない」「もっと欲しい」という欲望が常につきまとう。その結果、人は憂い、恐れるようになる。しかし、快楽そのものに執着せず離れることができれば、憂いや恐れは自然に消える。執着なき心こそが、本当の自由をもたらすのだ。
🧠 解釈と現代的意義
この章句は、現代人の“快楽至上主義”に鋭く警鐘を鳴らします。娯楽、贅沢、名声、評価――それらがあるから安心するのではなく、それらを「失いたくない」という気持ちが不安とストレスの根源になります。本当の平穏とは、「欲しいものをすべて得ること」ではなく、「なくても平気でいられる心」を持つことにあります。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用例 |
---|---|
成果や報酬への依存 | 「達成すれば幸せ」という考えが執着を生み、達成できなければ強いストレスや恐れに変わる。 |
評価や承認欲求 | 他人からの賞賛やいい評価に固執すると、逆に失うことへの恐怖が増す。 |
キャリア思考 | 収入や地位の上昇にだけ価値を置くと、変化や失敗に対する耐性が弱くなる。 |
経営や組織運営 | 利益や数字にだけ焦点を当てた組織は、恐れに支配されやすくなり、健全さを欠くことがある。 |
🧭 心得まとめ(座右の銘風)
「快に酔えば、恐れに沈む。欲を捨てれば、心は自由になる。」
得ることで満たそうとすればするほど、
失うことへの恐れが増す。
本当の安心は、何もなくても穏やかでいられる心にある。
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