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引用原文(現代語訳)
この身体に何の用があろうか?
いつも臭穢を漏らし、たえず病いにおそわれ、
老いと死におびえているのに。
逐語訳と用語解説
表現 | 解釈・補足 |
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この身体に何の用があろうか? | 肉体そのものへの問いかけ。果たしてこれほど不完全な存在に執着する意味があるのか?という自問。 |
臭穢を漏らし | 身体は美しく見えても、汗・排泄・血・老廃物など不浄物の塊であることを指す。 |
たえず病いにおそわれ | 完全な健康は存在せず、常に何かしらの病気や不調の可能性と隣り合わせ。 |
老いと死におびえている | 身体の未来には、確実に衰えと死が待っているという事実から逃れられない。 |
全体の現代語訳(まとめ)
この身体に、一体どんな価値があるというのだろう?
絶えず臭いや穢れを発し、
病に襲われる不安を抱えながら、
老いと死におびえて日々を送っているのに。
解釈と現代的意義
この偈は、身体=自分という誤った自己認識を根底から覆すものです。
現代では、肉体的な魅力や健康への過剰な信仰が存在しますが、この偈はその幻想を砕きます。
人間の身体は一時的な器に過ぎず、それ自体は不完全であり、むしろ執着の対象ではなく「観照し、超越するべきもの」であるという視点。
仏教ではこうした身体の真相を見つめることで、真の自由(涅槃)へ至る智慧が生まれるとされます。
ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実践的な適用例 |
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外見や表面的魅力への過信の排除 | 美しいプレゼン資料や肩書・装飾ではなく、「本質的な内容」「中身」に価値を置く経営判断。 |
健康を過信せずリスクを前提に行動 | いつ病気や不調になるかわからない身体に過度な期待をせず、持続可能な働き方・制度設計を。 |
老いと死=限界の自覚と継承 | リーダーが不死身であるかのように振る舞うのではなく、後継やチーム形成を重視。 |
“身体中心”から“志中心”への転換 | 身体能力・見た目ではなく、意志・思想・信頼に基づいた価値創出へと軸足を移す。 |
心得まとめ(感興のことば)
「身体は壊れる器、志こそが継がれるもの」
その身体は、
穢れを漏らし、病を抱え、
死へ向かう不完全な器にすぎない。
そこに全てを託すな。
あなたが守るべきは、
その身体の中で
何を志し、何を遺すかである。
この偈は、現代において“健康神話”や“美の幻想”が支配する価値観に対し、
**「目覚めよ、本質を見よ」**と語りかけているようでもあります。
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