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老・病・死に目覚めし者は、執着を断ち、真理に向かう


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引用原文(現代語訳)

この世で老いぼれた人を見て、
また病んだ人を見て、また意識作用の消え失せた死人を見て、
思慮ある人は家の絆を捨て去った。
世間の人々にとって、欲楽は実に断ち難いものであるが。


逐語訳と用語解説

表現解釈・補足
老いぼれた人/病んだ人/死人「生老病死」のうちの三苦を象徴。人生に避けられない苦しみの象徴。
意識作用の消え失せた死人単なる肉体の死ではなく、「心が消滅した状態」=生命の終焉を指す。
思慮ある人智慧をもって物事を見つめる者。仏道に向かう者。
家の絆を捨て去った世俗的な生活・家庭・快楽を捨て、修行の道に入る(=出家)の象徴。
欲楽は実に断ち難い一般の人々が欲望や快楽にとらわれやすく、手放すのが難しいことを認める。

全体の現代語訳(まとめ)

老い衰えた人を見て、
病に苦しむ人を見て、
そして死により意識を失った人を見て、
思慮深い者は深く目覚め、
家族や財産への執着を断ち切って、真理を求めて歩み出した。
人々にとって欲望と快楽を断ち切ることは困難であるが、
智ある者はそれを超えようとするのだ。


解釈と現代的意義

この偈は、目をそらしがちな現実──老い・病・死を直視することが、真の目覚めに繋がることを示しています。
世間では欲望に生きることが当たり前とされますが、智者とはその当たり前を疑い、「なぜ生きるのか」「何のために働くのか」といった根本的問いを抱く存在です。

ここで描かれるのは仏陀の出家動機にも重なる「精神的脱皮」の瞬間であり、現代においても「本質を求める生き方」への転換点となる智慧です。


ビジネスにおける解釈と適用

観点実践的な適用例
外的報酬から内的動機への転換給与・地位といった外的動機より、「何のために働くのか」という価値観を明確にする。
苦しみを直視するマネジメント問題や衰退を隠さず直視し、その中から再生と本質的成長を模索する姿勢。
ライフステージの転機への備え病気・老い・死といったテーマも無関係ではなく、キャリアの途中で「何を手放し、何に向かうか」を考える機会を設ける。
欲望のマネジメント消費・競争・達成に巻き込まれすぎない自己制御。組織内でも持続的な働き方・生き方のための価値教育を。

心得まとめ(感興のことば)

「苦しみを見よ。そこにこそ、目覚めがある」
老いを見て、病を見て、
死を見て、
それでも心を閉ざさぬ者がいる。
それは、真に思慮ある者だ。
人々が欲望にしがみつく中で、
その人は手放す。
しがみつくのではなく、見つめる。
そして、歩き出す。
それが、智慧の始まりである。


この偈は、人生の苦しみから逃げずに対面し、それを契機に魂の旅を始めることの大切さを教えてくれます。

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