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どこにも属さず、何にも執着せず、少なく欲して自由に生きる


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■引用原文(日本語訳)

在家者・出家者のいずれとも交わらず、
家を持たずに遍歴し、欲少なくして生きる人――
その人を、私は〈バラモン〉と呼ぶ。

(『ダンマパダ』第404偈|第二六章「バラモン」)


■逐語訳

  • Na kiraṅkitaṃ na ca pi samaṇo:彼はバラモン階級でも、沙門(出家修行者)でもない
  • Na gihī:在家者でもない
  • Na pi aññataro:その他のいかなる分類にも属さず
  • Aniketaṃ:住家を持たず(どこにも定住せず)
  • Ananuyhitaṃ:執着することなく
  • Tam ahaṃ brūmi brāhmaṇaṃ:そのような人こそ、私は〈バラモン〉と呼ぶ

■用語解説

  • 在家者(gihī):家庭を持ち、社会的責任を果たす一般人。
  • 出家者・沙門(samaṇa):修行者、宗教者、僧侶。
  • どちらにも属さない(na kiraṅkitaṃ…):制度や階層のいずれにも所属しない超越的存在。
  • 住家を持たない(aniketaṃ):定住に執着せず、常に自由でいること。
  • 欲少なくして遍歴する(ananuyhitaṃ):少欲知足で、所有や安住を求めず、真理を求めて歩む者。

■全体の現代語訳(まとめ)

彼は、在家者でもなく、出家者でもない。
どのような分類にも属さず、肩書きも、住居すらも持たない。
何ものにも執着せず、欲望を最小限にとどめ、遍歴しながら自由に生きる者――
そのような境地にある人をこそ、仏陀は〈バラモン〉と呼ぶ。


■解釈と現代的意義

この偈は、「所属・立場・制度・住まい・所有」すべてから自由になった人格を称えています。
私たちはふつう、「どこに属しているか」「何を持っているか」「どこに住んでいるか」などで自己認識をしていますが、仏教ではそうした外的ラベルからの完全な自由こそが悟りへの道だとされます。

この偈が示すのは、「肩書きや役割を超えた生き方」――つまり、存在そのもので自由と静けさを体現する人物像です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
ラベルを超えた在り方役職・所属・職種にこだわらず、目的と価値で動ける人材は、変化の時代に柔軟で強い。
拠り所を持たない強さ地位や待遇など「外的安定」に頼らず、自分の価値観とミッションで動ける人は、独立性と創造力が高い。
ミニマリズムの精神モノや権威への執着を減らし、軽やかに生きることで、本質的な行動と意思決定ができる。
ノマド的働き方の支柱一つの場所・会社・肩書きに縛られない働き方が可能になるには、内面の自由が必要不可欠。

■心得まとめ

「所属を超え、執着を超え、自由そのものとして生きよ」
人はつい、肩書きや所属、家やモノを自分の一部と思い込んでしまう。
だが、真に自由な人とは、そうしたすべてを手放して、
軽やかに、そして確かな信念で生きる人。
ビジネスの世界においても、ラベルではなく中身、
所有ではなく本質――それを体現する者こそが、
新しい時代の〈バラモン〉=プロフェッショナルなのです。


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