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三つの自制――身・口・意を清める者が真のバラモン


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■引用原文(日本語訳)

身にも、ことばにも、心にも、悪いことを為さず、
三つのところについてつつしみ深い者――
彼を私は〈バラモン〉と呼ぶ。

(『ダンマパダ』第391偈|第二六章「バラモン」)


■逐語訳

  • Yo pana kāyena vacīya ceva:身体と言葉において
  • Manasā ca na dussati:また心においても悪をなさず
  • Saṃvutattā tayo dhamme:この三つをよく制御している者
  • Taṃ ahaṃ brūmi brāhmaṇaṃ:その人こそ、私は〈バラモン〉と呼ぶ

■用語解説

  • 身体(kāya):行動として現れるもの。暴力・盗み・邪淫などを含む。
  • 言葉(vacī):発言、話し方、トーン、批判、嘘、悪口など。
  • 心(manas):思考・感情・欲望・嫉妬・怒りなど、目に見えない内面。
  • 三つのところ(三業):身業・口業・意業(しんごう・くごう・いごう)。仏教では行為の根本を構成する三分類。
  • つつしみ深さ(saṃvutattā):自制・節度・慎み。戒律に基づいた内省的な行動態度。

■全体の現代語訳(まとめ)

身体でも、言葉でも、心でも悪しき行いをせず、それぞれの領域において節度を持って慎み深く生きる者――このような人格を備えた人こそが、名実ともに「バラモン(完成者)」であると仏陀は語る。
つまり、「内なる行動・外なる行動の一致」と「全体としての調和」が、聖なる生き方の基礎である。


■解釈と現代的意義

この偈文は、人格の完成とは「一貫性」にあるという真理を明らかにしています。
現代人の多くは、心の中で思っていることと、口にする言葉、実際の行動が食い違っていることがあります。しかし、真に尊敬される人物とは、心が整っており、言葉が誠実で、行動が誇れる人です。

この偈は、言行一致の重要性、そして内面的修養の積み重ねによって、自然と外的態度が高められることを教えてくれます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
身の節制(行動)不正・怠慢・攻撃的な行為を避け、常に責任を持った動き方を心がける。
口の節制(言葉)無責任な発言・陰口・威圧・嘘を排し、丁寧かつ建設的な言葉を選ぶ。
心の節制(思考)嫉妬・怒り・誇りなどの感情に自覚的になり、判断を曇らせないよう努める。
信頼構築一貫した言動は、上司・同僚・部下からの信頼の土台をつくる。
リーダーシップ部下はリーダーの「言葉」よりも「振る舞い」や「心の姿勢」に影響される。三業が一致したリーダーは組織を安定させる。

■心得まとめ

「心・言葉・行動を整える――それが人格の土台である」
どんなに美辞麗句を並べても、心が汚れていれば、行動は濁る。
どれほど優れた実績があっても、言葉が軽ければ、信頼は得られない。
身・口・意――三つの領域をそろえて整えたとき、人は真に尊敬される存在となる。
バラモンとは、生き方そのものが清らかな人を意味するのだ。


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