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怒りに報いず、静かに超える者こそ強者


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■引用原文(日本語訳)

バラモンを打つな。バラモンはその人に対して怒りを放ってはならない。
バラモンを打つ者には禍がある。しかし、打たれて怒る者にはさらに大きな禍がある。

(『ダンマパダ』第389偈|第二六章「バラモン」)


■逐語訳

  • Mā brāhmaṇaṃ abhihaññi:バラモンを打つな。
  • Mā brāhmaṇo hitānaso:バラモンよ、怒りをもって応えるな。
  • Dhī brāhmaṇassa hantāraṃ:バラモンを打つ者には禍(非難・報い)がある。
  • Tato dhī yassa kupito:だが、怒りを返す者には、さらに大きな禍がある。

■用語解説

  • バラモン(Brāhmaṇa):ここでは、精神的に成熟し、修行によって清らかさを得た者。
  • 打つ(hantāraṃ):暴力、誹謗、中傷、攻撃的言動などを含む象徴的な「害意」。
  • 怒り(kupito):感情による反撃、内なる激情。報復の欲望。
  • 禍(dhī):不幸、災い、悪果。道徳的・心理的な損失や苦しみ。
  • 怒らぬこと:仏教において、怒りに応じない態度は最高の忍辱(にんにく:耐え忍ぶ徳)とされる。

■全体の現代語訳(まとめ)

聖なる者(バラモン)は決して他者を害してはならず、たとえ攻撃されても怒りをもって報いてはならない。
攻撃する者にはその報いがあるが、怒りによって報復する者には、それ以上の内的な禍が訪れる。
つまり、攻撃を受けたときこそ、その人の心の成熟が試されるのである。


■解釈と現代的意義

この偈文は、「攻撃されたとき、怒りで返さないことこそ真の力である」と教えています。現代においても、誹謗中傷、理不尽な扱い、批判に直面したとき、私たちはそのまま反応してしまいがちです。しかし、怒りで返すことは自己の心の自由を失わせるものであり、それが本当の“禍”なのです。

怒りを手放すことは「逃げ」ではなく、「超越」です。それは、より高い精神の次元に自分を置く選択であり、本当の自由と尊厳の証です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
対人関係の成熟感情的に攻撃されても、冷静さを保つことで信頼と品位が保たれる。短期的反応ではなく、長期的信頼に価値を置く態度。
リーダーシップ誹謗や批判に対して怒りや報復で返すのではなく、静かに受け止め、的確な行動で示すことが、真のリーダーの在り方。
ストレスマネジメント怒りの連鎖を断つことで、チーム全体の心理的安全性と生産性を守る。
社内トラブル対応問題や衝突が起きた際に、攻撃的反応をせず、誠実で静かな対応が組織の文化を高める。

■心得まとめ

「怒りに怒りを重ねるな――超える者にこそ真の力が宿る」
攻撃されたとき、怒りで応じるのは簡単だ。しかし、それでは何も変わらず、心も傷つく。
怒らず、応じず、超える。それこそが精神の勝利であり、最上の知恵である。
ビジネスにおいても、動じずに徳を守る姿勢が、周囲に安心と信頼をもたらすのです。


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