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📖 原文引用(『ダンマパダ』第二五章 第379偈)
みずから自分を励ませ。
みずから自分を反省せよ。
修行僧よ。自己を護り、正しい念いをたもてば、
汝は安楽に住するであろう。
(原文:
Attanā codayattānaṃ,
paṭimaṃsetha attanā;
So attagutto satimā,
sukhaṃ bhikkhu vihāhisi.
―『Dhammapada』Ch. 25, v.379)
🔍 逐語訳(逐文・簡潔)
- Attanā codayattānaṃ:自ら、自分を励ませ。
- Paṭimaṃsetha attanā:自ら、自分を内省・反省せよ。
- So attagutto satimā:自己をよく守り、念(気づき)を保つ者は、
- Sukhaṃ bhikkhu vihāhisi:修行僧として安らかに暮らすであろう。
📘 用語解説
- 自分を励ます(codayattānaṃ):自分で自分を鼓舞し、怠惰や迷いを乗り越えて努力する姿勢。
- 自分を省みる(paṭimaṃsetha):自己の行動や思考を内省し、改善点を見出す知恵。
- 自己を護る(attagutto):外的・内的な誘惑や危険から自らの心を守る。慎重であること。
- 正しい念い(sati):現在の心の状態を正確に観察し、常に意識的に生きるマインドフルネス。
- 安楽に住する(sukhaṃ vihāhisi):真の意味での平穏と満足の中に生きること。
🗣️ 全体の現代語訳(まとめ)
自らを励まし、自らを省みなさい。
そうして自分の心を護り、常に気づきを保つ修行者は、
内なる安らぎとともに、静かに幸福に生きていくであろう。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、自己の成長も安らぎも、他人によってではなく“自らの心構え”によって築かれるという仏教の根本原理を示しています。
外からの叱咤や評価に頼らず、自らを励まし・反省し・律していく力こそが、成熟した人間の条件です。
現代においても、自己肯定と自己規律の両立ができる人は、揺るがぬ自信と安定を持つことができます。
💼 ビジネスにおける解釈と応用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
自己モチベート力 | 外部からの評価や報酬でなく、自ら目標を定め、自ら鼓舞する「内発的動機づけ」の習慣を築く。 |
自己省察 | 日々の行動や判断を振り返る時間(ジャーナリングや1on1の振り返り)を取り、自己改善を継続する。 |
マインドフルネス | 心が今どこに向いているかを定期的にチェックし、過去や未来ではなく「今ここ」に集中する意識を持つ。 |
安定したリーダー像 | 誘惑や感情、過信に流されず、自らを冷静に保つことで、チームの安定と安心感を生むリーダーになる。 |
🧠 心得まとめ(ビジネスパーソン向け)
「自分を律する者こそ、静かに強い。」
誰かの声を待つのではなく、自らの声で自分を鼓舞せよ。
誰かに評価される前に、自らの目で己を省みよ。
そして、正しい心で自分を護るならば――
あなたの道は揺るぎなく、安らかに進んでいく。
この偈は、すべての自己成長・自己マネジメントの起点として、非常に実践的かつ力強い指針です。
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