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📖 原文引用(『ダンマパダ』第二五章 第373偈)
修行僧が人のいない空屋に入って心を静め、
真理を正しく観ずるならば、
その人に、人間を超えた楽しみが生じる。
(原文:
Sunnāgāre vasantassa,
santuṭṭhassa pavivittassa;
Taṇhā saṃkhayavimuttiyā,
evaṃ pecca na socati.
※伝承により異読あり。意訳では以下のように展開される)
―『Dhammapada』Ch. 25, v.373
🔍 逐語訳(逐文・簡潔)
- Sunnāgāre vasantassa:空屋(人気のない静かな場所)に住む者が、
- Santuṭṭhassa pavivittassa:満足し、離欲し、独りを楽しんでいるとき、
- Taṇhā saṃkhaya-vimuttiyā:渇愛の滅尽と解放を通じて、
- Evaṃ pecca na socati:そうした者は、後に悔いることなく、悲しむこともない。
※意訳においては、「超人的な喜び(人間を超えた楽しみ)」は、心が欲望を離れ、真理を見たときに現れる「精神的至福(アリヤ・スッカ)」とされます。
📘 用語解説
- 空屋(suññāgāra):瞑想や修行のための静かな場所。物理的な空間以上に、「心の静けさ」を象徴する。
- 心を静める(samādhi):雑念や欲望から離れて、精神統一を図ること。
- 真理を正しく観ずる(vipassanā):現象の本質(無常・苦・無我)を洞察する智慧の修行。
- 人間を超えた楽しみ(atthi sukhaṃ uttamaṃ):五感の快楽を超えた、精神的・超越的な喜び。
🗣️ 全体の現代語訳(まとめ)
修行者が人里離れた静かな場所にて心を静め、
欲望を離れて真理を正しく観るならば、
その人には、人間の快楽を超えた深い喜びが生じる。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、外的な刺激を絶った静寂の中でこそ、内的な深い喜びが生まれるという教えです。
私たちは、にぎやかさ・便利さ・刺激に囲まれた生活を送りながら、「満たされない心」を抱えがちです。
しかし、仏教は説きます――静けさの中でこそ、欲望から解放された真の満足が訪れる。
「孤独を恐れず、静けさを味わう」ことの中に、人生の本質があるのです。
💼 ビジネスにおける解釈と応用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
深い集中の実践 | 静かな場所・時間(デジタルデトックスなど)を意図的に設けることで、思考の質が深まる。 |
情報過多からの解放 | 常に他者やSNSとつながっている状態を離れ、「一人の時間」で精神的な整理と再起動を図る。 |
心の余白づくり | 絶え間ない刺激に反応するのではなく、反応しない「間」を持つことで、内面的自由と創造性が育まれる。 |
真のモチベーション | 外的報酬や評価でなく、内なる気づきや理解がもたらす「精神的満足」に基づいて行動できるようになる。 |
🧠 心得まとめ(ビジネスパーソン向け)
「静けさを恐れるな――そこに、歓喜がある」
騒がしさや他者との比較のなかでは見えないものが、
ひとりの時間、沈黙、そして欲を離れた心の中にそっと現れる。
それは人間の快楽を超えた“本物の喜び”であり、
真に成熟した者が手にする、プロフェッショナルとしての心の余裕である。
この偈は、現代のビジネスパーソンにとって、集中・自己回復・静寂の価値を改めて示す貴重な教えです。
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