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愚と歩むな、独りであっても清くあれ


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■引用原文(日本語訳)

第二三章 象(三三〇)
愚かな者を道伴れとするな。
独りで行くほうがよい。孤独で歩め。
悪いことをするな。求めるところは少なくあれ。
林の中にいる象のように。


■逐語訳

  • 愚かな者を道伴れとするな:思慮が浅く、悪行に導くような人を仲間とするな。
  • 独りで行くほうがよい:良き伴侶がいないなら、潔く単独で進め。
  • 孤独で歩め:群れに頼らず、自律して歩む態度。
  • 悪いことをするな:倫理に反する行動を避けよ。
  • 求めるところは少なくあれ:欲望を抑え、必要最小限を知れ。
  • 林の中にいる象のように:群れを離れ、静かに自分の道を歩む象の姿を手本とせよ。

■用語解説

用語解説
愚かな者(バーラ)無知であり、感情・欲望のままに生きる者。仏教では「悪友」ともされる存在。
道伴れ共に人生を歩む者、パートナーや友人・仲間。
求めるところ少なくあれ(サントゥッティ)少欲知足。必要以上のものを求めず、満ち足りる心を持つこと。
象のように象はここで「沈着・力強く・自立した存在」の象徴として登場する。

■全体の現代語訳(まとめ)

愚かな人と一緒に道を歩むよりも、独りで歩むほうがましである。
孤独であってもよい。悪を避け、欲を少なくし、
林に生きる象のように、静かに自分の道を行け。


■解釈と現代的意義

この節は、**「孤独よりも悪い交わりの方が有害である」**という、仏教的な交友観を明確に示しています。
人間関係において、数や親しさに惑わされず、相手が自分の心と行動にどう影響を与えるかを重視すべきだという教訓です。

また、「悪いことをするな」「求めるところは少なくあれ」と続けることで、孤独にあっても正しいことを守り、慎ましく生きることが尊いと説かれています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
人間関係の選別チームや仕事仲間においても、価値観や行動が合わず、自らを悪に誘う人物とは距離を取るべき。
独立の覚悟周囲に理解者がいなくても、妥協して関係を築くより、自分の信念を守る方が大切なときがある。
倫理重視の経営判断利益や付き合いに流されず、悪事やグレーゾーンを明確に拒否する姿勢が、長期的な信用をつくる。
ミニマルな働き方過剰な目標や物欲ではなく、「必要なだけでよい」というシンプルな価値観が、心の安定と持続性につながる。

■心得まとめ

「愚と交わるな、独りでも正道をゆけ」

人はともすれば、孤独を恐れて間違った相手と交わってしまう。
だが、悪しき仲間はあなたの成長と自由を蝕む
林の中の象のように、誇り高く、静かに、自分の信じる道を歩むべし。
ビジネスでも人生でも、孤独よりも悪い影響の方が遥かに有害である
だから、必要最小限を知り、正しく孤独を生きる強さを持とう。


『象』章の核心思想である「心の制御」「慎み」「独行」の精神が、この節で美しく結ばれています。

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