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慎みある者こそ、涅槃への道を歩む


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■引用原文(日本語訳)

第二三章 象(三二三)
何となれば、これらの乗物によっては未到の地(=ニルヴァーナ)に行くことはできない。
そこへは、慎みある人が、おのれ自らをよくととのえておもむく。


■逐語訳

  • 何となれば:なぜならば。
  • これらの乗物:騾馬、名馬、名象といった動物による物理的な移動手段。
  • 未到の地:まだ到達していない場所。ここでは「ニルヴァーナ(涅槃)」のこと。
  • 行くことはできない:そこへは到達できない。
  • 慎みある人:欲望や怒りを抑え、自制心に満ちた人物。
  • おのれ自らをよくととのえて:自己の行動・思考・心を整え。
  • おもむく:向かっていく。歩み進む。

■用語解説

用語解説
未到の地(ニルヴァーナ)欲・怒り・無知を脱した完全な解放の境地。仏教における究極の目標。
これらの乗物前節の騾馬・名馬・象など。外的な力や移動手段の象徴。
慎みある人(ダンティー)自制心をもって行動し、煩悩に動じない人。
おのれ自らを整える身・口・意(行動・言葉・心)を律する仏教の基本修行の姿勢。

■全体の現代語訳(まとめ)

なぜなら、どれほど優れた乗り物であっても、人をニルヴァーナ(解脱)の地へは運べない。
そこに到達するのは、自己を律し、慎み深く心を整えた人だけである。


■解釈と現代的意義

この節は、「解脱(ニルヴァーナ)は外的手段では達成できない」という核心的な教えを示します。
どれだけの権力、財産、手段、才能があっても、本質的な幸福や心の自由には到達できない。到達の鍵は「自己の内面を整えること」にある――という明快な指針です。

現代人にとっても、物理的手段(地位・学歴・実績)を積み上げても、心が整っていなければ本当の安らぎは得られないという、深い自己修養の呼びかけと受け取れます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
成果主義の限界高い業績や華やかな経歴があっても、人格が整っていなければ信頼や充実感は得られない。
マネジメントの本質組織を動かす前に、まず自分の内面を律することが、真のリーダーシップの基盤となる。
キャリア形成資格や経験だけでなく、自制心や謙虚さを育てることが持続可能な成功につながる。
幸福の定義外的条件ではなく、心の整いと慎み深い生き方こそが、仕事における「満ち足りた境地」をもたらす。

■心得まとめ

「目的地に至るのは、己を律する者のみ」

どれほど優れた道具や地位があっても、真の目的地――すなわち心の安らぎや解放――には到達できない。
それを歩むのは、静かに、慎み深く、日々自分を律する者である。
ビジネスの現場でも、実績や手段に頼るだけではなく、自分の内面を整え続ける者こそが、最後には「未到の地」に至るのです。

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