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恐れを誤れば、道を誤る


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📜 引用原文(日本語訳)

第二二章 地獄 三一七偈
恐れなくてよいことに恐れをいだき、恐れねばならぬことに恐れをいだかない人々は、邪な見解をいだいて、悪いところ(=地獄)におもむく。
――『ダンマパダ』第二二章「地獄」三一七偈


🔍 逐語訳

  • 恐れなくてよいことに恐れをいだく:善き行いや真実、正義に対して、周囲の目や損得で怯えること。
  • 恐れねばならぬことに恐れをいだかない:悪行・不道徳・因果の報いに対して無感覚であること。
  • 邪な見解(ミッチャー・ディッティ):真理や正道を見失った価値観。誤った恐れに基づく行動。
  • 悪いところ(=地獄)におもむく:その誤った生き方の帰結として、苦しみや破滅に至ること。

🧩 用語解説

  • 恐れ(バヤ):仏教における恐れとは、単なる感情ではなく、因果と道徳に根ざした「慎み」の一種。
  • 邪見(邪な見解):因果や戒律を無視し、自己都合や世間の価値に流される誤った信念。
  • 地獄(ナラカ):現世的にも象徴的にも、精神的荒廃と苦しみの境地。

🗣️ 全体現代語訳(まとめ)

本来恐れる必要のない善き行為や真実におびえ、逆に本当に恐れるべき悪や不正を軽んじる人々は、価値観を誤り、やがて大きな苦しみに堕ちていく。
恐れの基準を見誤ることは、生き方そのものの羅針盤を狂わせることに他ならない。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、「恐れるべきことを恐れよ、恐れなくてよいことに惑わされるな」というメッセージを私たちに強く投げかけています。
現代社会でも、正しいことを言うのを恐れたり、不正に立ち向かうのをためらったりする一方で、
「評価が下がるのでは」「損するのでは」といった世間体や利害にばかり怯える姿勢が見られます。

しかし、本当に恐れるべきは――
良心を裏切ること、自分の魂に恥じることです。
そこを見失ったとき、人はやがて道を踏み外してしまうのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
意思決定の軸不正を恐れずに行い、正義を恐れて逃げるような判断は、組織を内側から壊す。
社内文化「間違いを正すこと」が怖れられ、「見て見ぬふり」が常態化すると、風通しの悪い環境になる。
長期的信頼評価や売上を恐れるあまり、倫理を犠牲にする選択は、いずれブランドと信頼を損なう。
リーダーシップ真に恐れるべきは、「判断ミス」ではなく、「倫理を裏切ること」であるという認識が重要。

🧘 心得まとめ

「正義を恐れて沈黙し、不義を恐れぬ者は、自ら苦の道を選ぶ」

恐れるべきは、悪しき行為の結果であり、
恐れてはならないのは、真実を語ること、善をなすことである。
人生における選択は、何を恐れ、何を超えるかで決まる。
誤った恐れは、心の羅針盤を狂わせ、魂を暗き地に引きずり下ろす――その警告を、この偈は静かに、しかし鋭く語っています。

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