目次
📜 引用原文(日本語訳)
第二二章 地獄 三〇九偈
放逸で他人の妻に近づく者は、四つの事がらに遭遇する。
すなわち、禍をまねき、臥して楽しからず、第三に非難を受け、第四に地獄に堕ちる。
――『ダンマパダ』第二二章「地獄」三〇九偈
🔍 逐語訳
- 放逸(ほういつ):節度を失った状態。欲望や快楽に流され、自己を律する力を失っていること。
- 他人の妻に近づく者:不倫・姦通を意味する。性的な不道徳行為。
- 四つの事がらに遭遇する:四つの重大な報いを受ける。
- 禍をまねく:災難、対人関係の破綻、復讐など。
- 臥して楽しからず:心にやましさを抱え、安眠できず、精神が休まらない。
- 非難を受ける:社会的信用の失墜、評判の悪化。
- 地獄に堕ちる:死後の報いとしての精神的・霊的な苦しみ。
🧩 用語解説
- 放逸(プラマーダ):仏教における重大な過失。修行や徳の道から逸脱すること。
- 非難(なじり):世間や社会からの道徳的糾弾、信用の喪失。
- 地獄(ナラカ):仏教の六道の中で最も苦しみに満ちた輪廻の境涯。悪行の報いとして堕ちる。
🗣️ 全体現代語訳(まとめ)
自制を失い、他人の妻という禁を犯す者には、必ずや四つの苦しみが降りかかる。災いを引き寄せ、心の平安を失い、世間から糾弾され、さらには来世において苦しみの世界へと堕ちていく――その報いは確実であると仏陀は説く。
🧠 解釈と現代的意義
この偈は、**「倫理を踏み越える欲望の代償」**を、段階的かつ具体的に示したものです。
性的な不貞や裏切りは、目先の快楽の代わりに、人間関係の崩壊・内面的苦悩・社会的信頼の損失・そして精神的な堕落を引き起こすと教えています。
これは古典的な教えに見えて、現代社会でも非常にリアルな示唆を含んでいます。
とくに、社会的責任を持つ立場の人にとっては、一時の欲が全てを台無しにすることを示す警鐘です。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
倫理と私生活の一致 | プライベートな不貞行為が明るみに出ることで、プロとしての信頼や地位を一瞬で失うリスクがある。 |
メンタルヘルス | 不誠実な行為は、本人の心を蝕み、仕事のパフォーマンスや集中力にも悪影響を及ぼす。 |
レピュテーションリスク | スキャンダルや評判の悪化は、組織全体にも波及し、信用損失を招く。 |
自律的リーダーシップ | 内面の節制を保つことは、倫理的リーダーとしての最低条件である。 |
🧘 心得まとめ
「一時の欲望が、永遠の禍を招く」
倫理を破って得た快楽は、必ずや心の安寧と社会の信頼という代償を伴う。
行動には結果がある――それを常に念頭に置き、節度と敬意をもって生きることが、真の自由と尊厳をもたらす道です。
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