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共に歩む仲間を念じて、道を見失うな


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■引用原文(『ダンマパダ』第二一章 第二九八偈)

ゴータマの弟子は、いつもよく覚醒していて、昼も夜も常にサンガ(修行者のつどい)を念じている。
――『ダンマパダ』 第二一章 第二九八偈


■逐語訳(一文ずつ訳す)

  • 「ゴータマの弟子は」
     ――釈尊(ゴータマ・ブッダ)の教えに従う人々、修行者たちは、
  • 「いつもよく覚醒していて」
     ――常に目覚めた意識(サティ)を保ち、気づきの心で生きており、
  • 「昼も夜も常にサンガを念じている」
     ――昼夜を問わず、修行共同体(サンガ)すなわち「道を共に歩む仲間」やその清らかさを意識している。

■用語解説

  • サンガ(Saṅgha)
     直訳すると「集団・共同体」。仏教では特に「清らかな修行者たちの集い」を指し、仏教の三宝(仏・法・僧)の一つ。
     個人の修行にとっての支えであり、善き影響を与える鏡でもある。
  • 念ずる(サティ)
     単なる記憶や祈念ではなく、明晰な注意・意識を向ける精神的実践。
  • 覚醒(アパマーダ)
     注意深さ、気づき、放逸(注意散漫)の対義。自分を見失わずにいるための根本的態度。

■全体の現代語訳(まとめ)

仏弟子とは、目覚めた意識を持ち、日夜を問わず修行共同体である「サンガ(僧伽)」を心に留める者である。
自己中心に陥らず、共に清らかな道を歩む仲間の存在を念じることで、人は慢心や迷いから守られ、正しい方向へと導かれる。


■解釈と現代的意義

この偈が伝えているのは、「人は一人では悟れない」という仏教の根本認識です。
仏を理想とし、法を道としても、それを歩む旅においては 仲間(サンガ) が不可欠であるとされています。

現代の私たちにとっての「サンガ」とは、

  • 共に価値を追求する仲間
  • 志を持って支え合うコミュニティ
  • 自己を映す鏡としての関係性

このような存在の大切さを思い出し、敬意と感謝をもって接することこそが、自分自身を正しい道へと保つ手助けとなります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
チーム意識の醸成目の前のタスクに没頭するだけでなく、「このチームで共に成長する」という意識を持つことで、行動が丁寧になる。
支え合う文化成果だけを評価するのではなく、「仲間の努力や誠実さ」に目を向けることで、健全で強い組織が育つ。
自己点検の仕組み他者との比較ではなく、仲間の姿勢や行動を見て、自らを振り返る風土が、成熟と信頼を生む。
尊重と共感の習慣化部下・同僚の存在を軽視せず、互いに敬意を払いながら接することが、安心と連携の土台になる。

■心得まとめ

「ともに歩む者を忘れぬ者が、真に強い」

孤高の道は、美しく見えて危うい。
仏を念じ、法を念じ、
そして――
ともに歩む仲間の存在を尊び、支え合う者だけが、
迷いなく、自信をもって道を進むことができる。

“私”ではなく、“私たち”の中に、
覚醒への道はある。

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