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■引用原文(『ダンマパダ』第二一章 第二九六偈)
ゴータマの弟子は、いつもよく覚醒していて、昼も夜も常に仏を念じている。
――『ダンマパダ』 第二一章 第二九六偈
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- 「ゴータマの弟子は」
――釈尊(ゴータマ・ブッダ)に従う修行者、仏弟子たちは、 - 「いつもよく覚醒していて」
――常に注意深く、気づきの心を保ち、無自覚に流されない状態にあり、 - 「昼も夜も常に仏を念じている」
――時間を問わず、心の奥底で仏を思い、覚醒・慈悲・智慧の姿を心に描いて生きている。
■用語解説
- ゴータマ:
釈迦牟尼仏(シャーキャ・ムニ)の俗姓である「ゴータマ(Gotama)」。仏陀その人を指す名称。 - 覚醒(アパマーダ):
気づき・注意・警戒・内省の精神状態。仏教では「放逸(アパマーダ)」の対義語として最も重要な美徳の一つ。 - 仏を念ずる(ブッダーナサティ):
仏の徳や行いを思い、心に留め続ける瞑想・想念の行為。信仰としての念仏とは異なり、実践的な精神集中でもある。
■全体の現代語訳(まとめ)
釈尊の教えに従う修行者は、昼も夜も常に目覚めており、仏の徳や智慧、覚醒の姿を思い続けることで、心を浄めている。
仏を念ずることは、単なる信仰ではなく、「自らもそうあろう」とする自己実現の指針である。
■解釈と現代的意義
この偈が説いているのは、「意識的に生きる」ということの大切さです。
仏を念ずるとは、すなわち“智慧・慈悲・平静・覚醒”の体現者である仏の徳を、日常の中に思い描き、自分もそのように生きようとする意志の表れです。
昼も夜も、無意識に過ごしていれば、心は簡単に煩悩に巻き込まれます。
だからこそ、常に意識的に、理想を胸に抱きながら「目覚めて生きる」ことが、清らかな人生への道なのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
理念を持つ働き方 | 自分の中に“指針となる理想像”を常に思い描くことで、目の前の仕事に誠実さと方向性が宿る。 |
内省の習慣化 | 朝礼や終業時に一日を振り返る時間を持ち、ブレていないか自問することが、日々の質を高める。 |
24時間の意識形成 | オンとオフを問わず、誠実さや丁寧さを貫く姿勢は、個人の人格と信頼を着実に育てる。 |
ロールモデルの明確化 | 「自分はどんな人間でありたいか」を明確にし、その姿を毎日思い出すことで、行動の一貫性が生まれる。 |
■心得まとめ
「理想を忘れぬ者が、目覚めた人生を歩む」
ただ働くだけの人には、目的はない。
ただ生きるだけの人には、光はない。
しかし、理想を胸に、目覚めて歩む者には、
すべての瞬間が修行となり、進化の一歩となる。
昼も夜も、覚醒を忘れず、仏のように生きる――
それが、人生を浄める確かな道である。
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