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■引用原文(ダンマパダ 第二〇章「道」第280偈)
起きるべき時に起きないで、若くて力があるのに怠りなまけていて、
意志も思考も薄弱で、怠惰でものうい人は、明らかな知慧によって道を見出すことがない。
■逐語訳
- 起きるべきときに立ち上がらず、
- 若く、体力があるのに怠惰に過ごし、
- 意志も弱く、考える力も乏しく、
- 無気力で眠ったような人間は、
- 明確な知慧によって真理の道を見出すことはできない。
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
起きるべき時 | 精進を始めるべき時、すなわち“今”。仏教では「現在」を重視する。 |
怠りなまけている | 精神的・肉体的努力を怠り、安逸に流される状態。仏教の五蓋の一つ「惛沈睡眠」に該当。 |
思考の薄弱さ | 判断力や集中力の不足。仏教的には「知慧(パッニャー)」を育てる妨げとなる。 |
明らかな知慧 | 真理を直観的に見抜く力。思索・観察・実践から得られる深い洞察。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
自ら行動すべきときにその機会を逃し、若さと力を持ちながらも怠惰に流される人は、意志も弱く、深く考える力もない。
そのような人間には、どれほど優れた教えがあっても、それを見抜く知慧は育たない。真理への道を歩むことは、結局のところ、自分自身の「目覚め」と「行動」によってしか始まらないのだ。
■解釈と現代的意義
この偈は、「怠惰と機会の喪失」への厳しい警鐘です。
若さ、時間、能力――それらは有限であり、活かさなければ意味がない。
「知っている」だけでは不十分で、「今、この瞬間」に行動する者だけが、智慧と成長の道を歩むことができるというメッセージが込められています。
現代では「学び疲れ」「考えすぎて動けない」「先延ばし癖」などが多く見られますが、仏教的にはそれらは無明(無知)と煩悩の結果であり、克服すべき対象です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用例 |
---|---|
タイミングを逃さない | チャンスはいつまでもあるわけではない。「今」動かなければ、成長も結果も得られない。 |
若さとエネルギーの使い方 | 若手のうちから積極的に動くことが、長期的なキャリアの礎となる。 |
学びと実行のバランス | いくら知識を得ても、行動しなければ意味がない。「知行一致」が真の成長。 |
惰性の排除 | ルーチンに流されるだけでは知慧は育たない。「目的意識をもった行動」が人を磨く。 |
■心得まとめ
「学ぶだけでは道は開けない。歩むことでしか、智慧は得られない」
今こそが行動の時。怠惰を断ち、意志と集中をもって目の前の一歩を踏み出す者だけが、苦しみを超え、清らかな境地に近づく。
ビジネスでも人生でも、チャンスは準備された者にしか訪れない。**「気づいたときが、動くべきとき」**である。
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