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📜 引用原文(『ダンマパダ』第十九章 二六一)
誠あり、徳あり、慈しみがあって、傷(そこな)わず、つつしみあり、みずからととのえ、汚れを除き、気をつけている人こそ「長老」と呼ばれる。
📝 逐語訳
「誠実であり、徳をそなえ、慈悲の心を持ち、
他者を傷つけず、つつましく、自らの行いを正し、
心の汚れ(煩悩)を取り除き、常に注意深く生きる者――
その人こそが〈長老〉と呼ばれるにふさわしい。」
📖 用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
誠(サッチャ) | 真実を語り、偽りを持たぬこと。 |
徳(ダンマ) | 道徳・正義・真理の体現。行動と内面の整合性。 |
慈しみ(メッター) | 無条件の思いやり、他者の幸福を願う心。 |
傷わず(アヒンサー) | 非暴力。肉体的にも精神的にも他者を害さない。 |
つつしみ(サマ) | 慎み深さ。言葉や行動を抑制し、節度を守る。 |
汚れを除き(マラナッサ・パハーナ) | 煩悩や心の汚染を浄化する修行的態度。 |
気をつけている(アパッマッタ) | 常に注意深く、油断せずに心を整えていること。 |
🌏 全体の現代語訳(まとめ)
本当の意味で〈長老〉と呼ばれるにふさわしいのは、
誠実で、道徳的で、慈しみにあふれ、誰をも傷つけず、謙虚で、
自分自身を律し、内面的な汚れを除く努力を怠らず、常に気を引き締めて生きている人である。
🔍 解釈と現代的意義
この偈は、「尊敬される人間の本質的な条件とは何か」を明確に語っています。
年齢や地位ではなく、「内面的な徳」が伴っているかが重要なのです。
しかもそれは一過性のものでなく、日々心を整え、言葉や行動を選び、他者に思いやりをもって接する姿勢の中に現れます。
これは、現代においても「本当に信頼できる人とは誰か」を見極める重要な基準になります。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈・適用 |
---|---|
真のリーダー像 | 言葉やスキルではなく、誠実さ・配慮・自己律する力で信頼を得る人物が「尊敬される人」。 |
チーム内の信頼構築 | 上司・先輩が「怒らず・責めず・導く」姿勢を持つとき、チームは安心と尊敬で結ばれる。 |
自己マネジメント | 成果主義だけでなく、「心の管理」「謙虚さ」「慈しみ」がある人が長期的に評価される。 |
リスク管理・慎重さ | 油断せず注意を怠らない姿勢が、トラブルの予防・信頼構築につながる。 |
🧠 心得まとめ(ビジネス向け)
「役職よりも人格、言葉よりも姿勢が人を導く」
長年勤めたからではなく、
誠と徳、慈しみと慎みをもって他者を思いやり、
自分自身を律し続ける人こそが、
「年長者」として尊敬され、「人を育てる力」を持つ。
リーダーとは、肩書きではなく心の在り方でこそ語られるべきなのです。
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