目次
📜 引用原文(日本語訳)
もしもひとがこの(不満の思い)を絶ち、根だやしにしたならば、かれは昼も夜も心のやすらぎを得る。
——『ダンマパダ』第18章「汚れ」第250偈
📘 逐語訳
- この(不満の思い):前偈(第249偈)に続く「施しに満足せぬ心」、つまり貪り・不足感・欲望のこと。
- 絶ち、根だやしにしたならば:「断つ」だけでなく、根本から取り除くこと。再び芽吹かせない深い断念。
- 昼も夜も:すべての時間、常に。
- 心のやすらぎを得る:欲望から解放された平安な状態。仏教で言う「寂静」「涅槃」に近い境地。
🧾 用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
不満の思い | 他人の施し・状況・現状に対する執着・比較心・欲望。 |
根だやし(根絶) | 表面的な抑制ではなく、欲望の「根っこ」を見抜いて断つこと。 |
やすらぎ(寂静) | 心の安定、動揺のない静けさ。仏教において最も大切な状態の一つ。 |
🌏 全体の現代語訳(まとめ)
もし人が、与えられたものに不満を感じる心、もっと欲しいと求め続ける心――
その欲望の根を見抜いて断ち切ることができれば、
その人は昼も夜も、常に心のやすらぎを得ることができるだろう。
💡 解釈と現代的意義
この偈は、心の不安や葛藤の根本原因が「欲望と不満」であることを明確に示しています。
そして、それらを抑え込むだけではなく、根から取り除くことの重要性を説いています。
私たちの不満や焦燥は、外側の状況から来るように見えて、実は内なる「もっと欲しい」という心の癖から生じています。
だからこそ、それを根だやしにしたとき、ようやく本当の安らぎが訪れるのです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
比較と焦燥の排除 | 同僚との比較や成果への執着を断てば、精神的ストレスが大きく減少する。 |
組織文化 | 「足るを知る」文化を持つ組織は、過度な競争や不正を防ぎ、健全な成長が可能になる。 |
リーダーシップ | 期待に応えさせようと「もっともっと」と求めるよりも、部下の努力や現状に感謝できるリーダーが尊敬される。 |
ワークライフバランス | 欲望の果てしなさを認識し、「今ここ」に満足できる人が、真の意味で豊かな仕事人生を送る。 |
🧭 心得まとめ
「欲の根を断て。そうすれば、心は昼も夜も安らぐ」
私たちの苦しみは、多くの場合、現実の不足よりも「もっと欲しい」という心の姿勢から生まれる。
外を変えるのではなく、内の「根っこ」を見極めて手放すこと――
それが、最も確かなやすらぎへの道である。
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