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言葉を慎む者こそ、人を導く力を持つ


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■引用原文(日本語訳)

第一七章 怒り(二三二)
ことばがむらむらするのを、まもり落ち着けよ。
ことばについて慎しんでおれ。
語による悪い行ないを捨てて、語によって善行を行なえ。


■逐語訳

  • ことばがむらむらするのを、まもり落ち着けよ。
     → 感情に任せて激しく言葉を発しそうになる時、それを制し、静めよ。
  • ことばについて慎しんでおれ。
     → 言葉を発する際には節度を持ち、注意深くあれ。
  • 語による悪い行ないを捨てて、
     → 嘘・悪口・中傷・無駄話など、言葉による悪しき行いをやめ、
  • 語によって善行を行なえ。
     → 優しい言葉・誠実な語り・励ましや真実を伝えることで、善を成せ。

■用語解説

  • むらむらすることば:怒り・興奮・欲望などによって制御を失いそうな言葉。
  • 慎む(ヴァーチーサンヴァラ):言葉における節度・注意・自制。仏教の「四つの正しい語(正語)」に通じる。
  • 語による悪行:妄語(うそ)・悪口・両舌(分裂を招く言葉)・綺語(無意味なおしゃべり)など。
  • 語による善行:真実・親切・必要・調和をもたらす言葉。

■全体の現代語訳(まとめ)

感情に任せて言葉が荒くなりそうなとき、それを制して静かな態度を保て。
言葉には細心の注意を払い、嘘や誹謗を避け、代わりに優しく、誠実で意味ある言葉を語れ。
それが、言葉を通して善をなす生き方である。


■解釈と現代的意義

この偈は、「言葉の力」と「言葉の慎み」が人間関係の鍵であることを示しています。
言葉は一瞬で他人を傷つけ、関係を壊す武器にもなり、また人を癒し、励ます力にもなります。
現代社会ではSNSやチャットなど言葉が軽く扱われがちですが、だからこそ言葉の使い方が人格の深さを示します。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
クレーム・トラブル対応感情的に反応せず、冷静かつ共感的な言葉で対応することで、信頼を保つことができる。
チームマネジメント批判ばかりせず、適切なタイミングで励まし・称賛を伝えることが、モチベーションを高める。
誠実なコミュニケーション事実に基づき、丁寧かつ明瞭に伝えることで、誤解やトラブルを防げる。
風通しの良い文化づくり無責任な噂話や陰口を慎み、前向きな言葉で人と接する姿勢が、組織全体の健全さを育む。

■心得まとめ

「言葉は刃にも翼にもなる。ゆえに慎重に用いよ」
一言が信頼を築き、一言がそれを壊す。
怒りや衝動に任せた言葉を手放し、誠実さと優しさに満ちた言葉を選ぶことが、真のリーダー・真の人格者のあり方です。

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