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善で応じる者が、真の勝者である


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■引用原文(日本語訳)

第一七章 怒り(二二三)
怒らないことによって怒りにうち勝て。
善いことによって悪いことにうち勝て。
わかち合うことによって物惜しみにうち勝て。
真実によって虚言の人にうち勝て。


■逐語訳

  • 怒らないことによって怒りにうち勝て。
     → 怒りをもって対抗するのではなく、怒らずに接することで怒りを制する。
  • 善いことによって悪いことにうち勝て。
     → 悪に対して報復せず、善をもって応じることで勝利を得る。
  • わかち合うことによって物惜しみにうち勝て。
     → 分け与える行動が、吝嗇(物惜しみ)や執着を打ち破る。
  • 真実によって虚言の人にうち勝て。
     → 嘘に対しては、争わず、正直さで勝る。

■用語解説

  • 怒りにうち勝つ:自分の怒りを鎮めるだけでなく、他者の怒りに対して反応せず平静でいること。
  • 善いこと(クサラ):慈しみ・親切・寛容などの道徳的な行動。
  • 物惜しみ(マッチャリヤ):分け与えることを拒み、執着して放さない態度。
  • 真実(サッチャ):誠実であること、虚飾のない言動。
  • 虚言(ムーサー):偽り・嘘・欺瞞。社会や人間関係に害をもたらす。

■全体の現代語訳(まとめ)

怒りには怒りで返さず、怒らないことによって制する。
悪に対しては善を、物惜しみに対しては分かち合いを、嘘に対しては真実をもって対処することこそが、真の勝利である。
争いや否定によってではなく、対極にある徳で包み返す姿勢が、人を本当の勝者にする。


■解釈と現代的意義

この偈は、「反応ではなく、応答によって生きよ」と教えます。
怒りには怒りを、嘘には嘘を――ではなく、その逆をもって対応することにより、流されず、主体的に生きる力が養われます。
現代社会では、ネットや対人関係などで否定や批判が溢れていますが、そうした中でこそ「逆の徳」で応じる姿勢が、真の人間力として輝きます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
対立対応の原則クレームや批判に対して感情的に反応せず、冷静かつ丁寧に応答することで信頼を得る。
倫理と行動社内で不正や不誠実を見かけたとき、自分はあくまで誠実さを貫くことが、組織の文化を変える一歩になる。
共有の精神ノウハウや情報を独り占めせず共有することで、組織の成長と信頼を促進する。
正直な対話嘘やごまかしでその場を凌ぐのではなく、正直に現状を説明することが、長期的な信頼構築に繋がる。

■心得まとめ

「怒りに怒らず、悪に善で返せ」
反応的に生きるのではなく、内なる徳から応答する。
これが仏教的リーダーシップであり、ビジネスにおける人格の強さである。
「争いを制する者」ではなく、「争いに応じない者」こそが、真に勝利する。

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