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愛は執着となり、執着は憂いと恐れを生む


目次

📜 引用原文(日本語訳)

愛するものから憂いが生じ、
愛するものから恐れが生ずる。
愛するものを離れたならば、
憂いは存在しない。どうして恐れることがあろうか?

—『ダンマパダ』第16章「愛するもの」第212偈


🔍 逐語訳

  • 愛するものから憂いが生じ(piyato jāyatī soko):愛着のあるものがあると、それを失うことへの悲しみが生まれる。
  • 愛するものから恐れが生ずる(piyato jāyatī bhayaṃ):その対象を失うかもしれないという不安や恐れも伴う。
  • 愛するものを離れたならば(piyassa vippayogena):その愛する対象から離れ、執着を断てば、
  • 憂いは存在しない(natthi soko kuto bhayaṃ):憂いや恐れはもはや存在せず、心は安らぐ。

🧩 用語解説

  • 愛するもの(piya):自分が愛着を抱く対象。人、物、地位、名誉などを含む。
  • 憂い(soka):悲しみ・不安・心の動揺。
  • 恐れ(bhaya):失うことへの怖れ、または未来への不安。
  • 離れる(vippayoga):物理的な距離だけでなく、心理的な執着を断つこと。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

愛する対象を持てば持つほど、私たちはそれを失うことを恐れ、傷つくことを怖れるようになる。
しかし、その愛着を手放すことができたなら、憂いや恐れは生じない。
真の平安は、「持つこと」や「得ること」ではなく、「執着から自由であること」によって得られる。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、感情の正体を明らかにします。私たちは「愛しているから幸せ」と思いがちですが、実はその裏側に「失いたくない」という不安や恐怖が常に潜んでいます。
現代社会では、愛着の対象が人に限らず、モノ・役職・承認・成果など多様化していますが、それらへの執着が心の平穏を脅かしていることは変わりません。
愛そのものよりも、「手放せない心」が問題であると説かれているのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用例
📉 執着による不安地位や成果に執着するほど、それを失うことへの不安が増す。心の安定を失うリスクが高い。
🧘 ストレスマネジメント愛着を手放すことで、外的な状況に左右されずに落ち着いた判断ができる。
🤝 組織内関係人に執着せず、淡々と信頼関係を築くことで、過剰な期待や依存から自由になれる。
🎯 成果と動機成果への過剰な執着は恐れと焦りを生み、視野を狭くする。目的そのものに集中する姿勢が理想的。

🔑 心得まとめ

「愛するがゆえの憂い。手放すことで、恐れは消える」

何かを「愛する」ことは自然な感情ですが、そこに執着が生まれると、喜びはやがて不安と悲しみに変わります。
ビジネスでも人生でも、持つことや守ることに囚われるより、自由な心で価値を生むことに集中することが、真の強さと安心をもたらします。
心の安定は、何かを得ることではなく、何にも縛られないことから始まるのです。

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