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勝ち負けを超えて、安らぎに生きる


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■引用原文(日本語訳)

勝利からは怨みが起る。敗れた人は苦しんで臥す。勝敗をすてて、やすらぎに帰した人は、安らかに臥す。
― 『ダンマパダ』 第十五章「楽しみ」 第201偈


■逐語訳

  • 勝利からは怨みが起る:誰かに勝てば、そこに必ず恨みや反感が生まれる。
  • 敗れた人は苦しんで臥す:敗北した人は屈辱と悔しさの中で、眠ることすら苦しい。
  • 勝敗をすてて:勝ち負けという枠組み自体を手放し、
  • やすらぎに帰した人は、安らかに臥す:競争から離れた人は、心穏やかに休むことができる。

■用語解説

  • 勝利・敗北:相手との比較に基づいた結果。仏教ではこれが執着や煩悩の原因となるとされる。
  • 怨み(うらみ):勝者に向けられる嫉妬や敵意。関係性の不調和を生む要因。
  • やすらぎ(ニッバーナ/涅槃):煩悩を離れた静けさ。心の究極的な平安。
  • 臥す:眠る、横になるという意味だが、ここでは「心の状態としての安らぎ」も示唆している。

■全体現代語訳(まとめ)

勝ち負けにこだわる限り、勝てば敵意を買い、負ければ心が傷つく。勝敗の二元論から離れ、ただ心穏やかにある者こそが、真に安らかに生きられるのだ――この偈はそのように語っている。これは「競争社会における心の自由」の指針でもある。


■解釈と現代的意義

この偈は、成果や優劣を追い求めることが、どれほど心を不安にさせ、争いを生むかを明示しています。
現代社会でも、「勝ち組・負け組」という分断的な考えが、人間関係の軋轢やストレスの温床となっています。しかし本来の人生の価値は、他人との比較ではなく、「自分にとっての平安・納得」であるはずです。

「勝とうとしないこと」が弱さではなく、「争わずに満ちていること」が強さなのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・応用例
競争と協調のバランス社内外の競争に執着しすぎると、敵意や摩擦を生む。一方で「共に価値を創る」姿勢が長期的成果につながる。
マネジメントの境地勝敗ではなく「調和と成長」を軸に置いた意思決定が、健全な組織文化を築く。
評価と承認自己の成長に軸を置いた評価制度やフィードバックは、勝ち負けを超えた働き方を支える。
メンタルヘルス勝ち負けに翻弄されず、自分のベストを尽くす生き方は、持続的な幸福感と安定をもたらす。

■心得まとめ(ビジネス視点)

「勝ちにこだわるほど、心は乱れる。超えてこそ、真に自由である」

競争の世界にあっても、勝つことを目的とせず、調和と誠実さをもって働く人が最終的な信頼と尊敬を得る――この偈はその真理を静かに示しています。
ビジネスの現場でも、勝敗を超えた目線を持つことが、チームを育て、リーダーの品格を高める道なのです。


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