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善を実行し、悪を退ける者こそ、真の安らぎを得る


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■引用原文(『ダンマパダ』第十三章 第169偈)

善い行ないのことわりを実行せよ。悪い行ないのことわりを実行するな。ことわりに従って行なう人は、この世でも、あの世でも、安楽に臥す。
― 『ダンマパダ』第169偈(中村元訳)


■逐語訳(逐文的な意味の解釈)

  • 善い行ないのことわりを実行せよ:善(クシラ)にかなう教え・道理(ダルマ)を積極的に実践せよ。
  • 悪い行ないのことわりを実行するな:悪(アクシラ)に導く誤った行動原理を実践してはならない。
  • ことわりに従って行なう人は、この世でも、あの世でも、安楽に臥す:真の理(ダルマ)に従って生きる者は、現世でも来世でも心安らかに暮らせる。

■用語解説

  • 善い行ない(クシラ):慈しみ・誠実・不害・正見などに基づく建設的行動。
  • 悪い行ない(アクシラ):貪り・怒り・愚かさに基づく破壊的行為や倫理に反する行動。
  • ことわり(ダルマ):宇宙の秩序・倫理的規範。行動の正邪を判断する根本原理。
  • 安楽に臥す:心に悔いなく、平穏でいられる状態。精神的なやすらぎ。

■全体の現代語訳(まとめ)

「善き行いを説く道理に従って、それを実際に実行せよ。逆に、悪しき行いの道理(言い訳や誤解)に従って行ってはならない。
道理に従い、善を実践する人は、この世でも死後の世界でも、心安らかに過ごすことができる。」
――この偈は、善と悪を選び取る自由と責任、そしてその結果としての安らぎを示している。


■解釈と現代的意義

この偈は、単なる「善悪の認識」ではなく、「実際に善を行い、悪を避ける」ことの重要性を説いています。
私たちはしばしば、「これは善」「これは悪」と知っていながら、現実の利害や感情に流され、悪に手を染めることがあります。
この偈は、「知っていること」ではなく「行っていること」が、心の安寧と人生の質を決定すると明確に述べています。

現代では、情報過多や相対主義的価値観のなかで、善悪の判断が曖昧になることが多いですが、それでも普遍的な道理に立脚し、善を実行することが人を安らかにするのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
意思決定利益やスピードを理由に不正や虚偽に流れず、正しいと知る行いを選ぶ勇気が、信頼と長期的利益をもたらす。
日常の判断基準「善悪は相対的だ」として濁すのではなく、自分と社会にとって何が誠実かを見極め、実行に移す姿勢が重要。
リーダーシップ「やってはいけない」と言うだけでなく、善き行動を自らが率先することで、組織全体に倫理が浸透する。
結果より姿勢短期的な成果にとらわれず、道理に基づいて誠実に働くことが、最終的にもっとも深い満足と安らぎを与える。

■心得まとめ

「正しさを知るだけでは不十分。正しく行うことで、人は本当に安らかになる。」

この偈は、真の安楽とは「誤魔化すこと」や「得をすること」ではなく、「善を実行した確信」と「悪を避けた安心」のなかにあると教えてくれます。
それは、現代のビジネスでも同じ。正しい行動は、いつか報われる。――たとえすぐに報われずとも、その行為は、あなた自身の心を平安にする最大の報酬なのです。

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