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悪は他人からではなく、自らの内に生まれる


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■引用原文(日本語訳)

『ダンマパダ』第十二章「自己」第161偈

「自分がつくり、自分から生じ、自分から起った悪が、知慧なき者を打ちくだく。
金剛石が宝石を打ちくだくように。」


■逐語訳

  • 自己より作られ(attanā hi kataṃ pāpaṃ)
  • 自己から生じた悪(attanā samuppaditaṃ)
  • 自己に起こったそれは(attanā jātaṃ)
  • 愚かな者を打ち砕く(tam eva bālaṃ hanati)
  • まるで金剛石が宝石を砕くように(abbhaham iva pavāḷaṃ)

■用語解説

  • 悪(pāpaṃ):道徳的に誤った行為、内面の貪・瞋・痴(三毒)から生まれる行い。
  • 自己より作られる(attanā kataṃ):悪は外部の力によってではなく、自分自身の意志と行動によって生じる。
  • 知慧悪しき人(bāla):仏教における「愚者」は、知識がないというより「自己制御ができず、因果を理解しない者」を指す。
  • 金剛石(abbhaham):極めて硬く破壊力のあるダイヤモンド。比喩として用いられる。
  • 宝石(pavāḷaṃ):ここでは壊される対象としての比喩。自分の価値や運命を指す。

■全体の現代語訳(まとめ)

自分自身の手によって作られ、自分の内から生じた悪は、最終的に自分を打ち砕くことになる。それはまるで、硬い金剛石がもろい宝石を粉砕するように、避けがたく自滅的である。


■解釈と現代的意義

この偈は、「悪は他人のせいで起こるのではなく、自らの内に芽生えたものが、自分自身を最も深く傷つける」と教えています。

現代においても、自分の誤った選択、感情の暴走、責任転嫁の習慣などは、長い目で見れば必ず自分に跳ね返ってきます。他人を責める前に、自分の思考や行為を省みることが、破滅を避ける唯一の方法であるといえます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用例
責任と自己原因の認識トラブルや失敗の原因を他者に求める前に、自分の判断・姿勢・準備を見直すことで成長が始まる。
慢心・怠惰・放置小さな不正・油断・ごまかしが、やがて大きな損失や信用崩壊となって自分に跳ね返ってくる。
自己破壊的行動感情的な言動・利己的な判断・場当たり的な行動が、まさに「金剛石」のように自らの成果や信頼を壊す。
経営・マネジメント組織の病巣は、たいていその中にいる人間が作り出したもの。内部から生まれた悪習を、他者の責任にしてはいけない。

■心得まとめ

「内なる過ちが、自らを滅ぼす。外敵よりも、己の心を恐れよ」

どんなに外敵があっても、それによって自滅することは稀である。だが、自らが起こした悪は、まるで最も硬い刃のように、自分の本質すら破壊する力を持つ。他責ではなく自省を――それが本当の知恵であり、プロフェッショナルに求められる姿勢である。

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