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教える者こそ、自己にこそ厳しくあれ


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■引用原文(日本語訳)

『ダンマパダ』第十二章「自己」第159偈

「他人に教えるとおりに、自分でも行なえ。自分をよくととのえた人こそ、他人をととのえるであろう。自己は実に制し難い。」


■逐語訳

  • 他人に教えるとおりに(yathā daṇḍena ācikkhati)
  • 自らもそう行え(evaṃ akāsi attano)
  • 自己を整えた人が(sudanto attano)
  • 他人をも整える(paraṃ pi dameti)
  • 自己は実に制し難い(attā hi veru dunniggaḷo)

■用語解説

  • 教える(ācikkhati):道徳や指針を説く、教訓を与えること。言葉で語るだけでなく、模範を示すことも含意する。
  • 自己をととのえる(sudanto attano):「良く訓練された自己」「よく制御された自己」。心の統御・行為の整合性。
  • 制し難い(dunniggaḷo):「抑え難い」「自由にならない」心の性質、欲望や傲慢など。

■全体の現代語訳(まとめ)

他人に教えるのであれば、まず自分自身もその教えを実践しなさい。自らをよく整えた者こそが、真に他人を導くことができる。なぜなら、自己とは本来、制御が非常に難しいものだからである。


■解釈と現代的意義

この偈は、「言うは易く行うは難し」という真理を仏教的視点から明快に表しています。人は他人に助言したり、指導したりすることは容易ですが、自分自身がその通りに行動するのは困難です。特に「自己の制御」は最も困難であり、それを成し遂げた者にこそ、他人を教える資格があると説いています。

自己をコントロールできないまま、他者に指導的立場をとることは、偽善や矛盾を生み、結果として周囲からの信頼を失います。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用例
リーダーの模範力上司がルールや価値観を部下に求めるならば、まず自らが実践してこそ本当の影響力を持つ。
組織文化「やれと言われたことはやるが、やっていない人の言葉は響かない」という現場のリアルに応えるリーダー像が必要。
自己統制自分の感情・言葉・行動をコントロールする難しさを認識し、それを訓練する者が他者への影響力を持てる。
倫理的信頼行動と発言が一致している人は、信頼される。矛盾がある人は、最終的に孤立する。

■心得まとめ

「まず己に厳しく。教えは実行で語れ」

自己の制御は極めて困難である。だからこそ、それを実行している者には自然と説得力と導く力が備わる。ビジネスにおいても、「自分がやらずに他人にやらせる」リーダーではなく、「自ら実行することで人を動かす」リーダーが真に信頼されるのである。

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