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📜引用原文(日本語訳)
若い時に、財を獲ることなく、清らかな行ないをまもらないならば、
魚のいなくなった池にいる白鷺のように、瘦せて滅びてしまう。
(ダンマパダ 第十一章「老いること」第155節)
🔍逐語訳
- 若い時に、財を獲ることなく
→ 若い頃に努力して、必要な力(物質的・知的資産)を蓄えなかったならば、 - 清らかな行ないをまもらないならば、
→ 道徳や正しい生き方を守らずに放縦な人生を送ったならば、 - 魚のいなくなった池にいる白鷺のように、
→ 餌も得られぬ枯れた池に、ただ佇む老いた白鷺のように、 - 瘦せて滅びてしまう。
→ 餓えと衰弱の果てに、虚しく滅んでしまうだろう。
🧾用語解説
- 財を獲る(dhanaṁ n’ādhigacche):ここでの「財」は金銭だけでなく、知識・経験・徳といった人生の基盤を含む。
- 清らかな行ない(sīla):仏教的道徳・品性・戒律の遵守。正しい行為の積み重ね。
- 白鷺(baka):高齢で衰えた者の象徴として用いられる比喩。池に魚がいなければ、餓えて死ぬ存在。
- 魚のいない池:資源(=機会・活力)の失われた環境。何も得られない世界の象徴。
💬全体の現代語訳(まとめ)
若いときに努力せず、財(知識・経験・道徳)を蓄えないまま年老いると、
機会が尽きた後には、何をどうしようにも遅く、
まるで魚のいない池で餌を待つ老いた白鷺のように、
ただ虚しく瘦せ衰え、滅びてしまう。
それは人生における最大の後悔を象徴している。
🧠解釈と現代的意義
この詩句は、まさに**「先手の努力と人格形成の重要性」**を説いた警句です。
人はつい、若さにかまけて怠けたり、誘惑に流されたりしがちですが、
その代償は、老年期に如実に現れます。
ここで仏陀が教えているのは、
「後になって取り返しのつかない状態になる前に、英知と徳を築け」ということです。
そしてこの警句は、「人生にはリハーサルがない」という現代的メッセージとしても響きます。
💼ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
若手育成の重要性 | 若い時期に知識や技能だけでなく、倫理観を育てていなければ、後年の指導者としての信頼は得られない。 |
中長期視点でのキャリア設計 | 目先の利益や楽さを優先せず、将来への「備え」として経験・学び・人脈を蓄積すべき。 |
組織資産の構築 | 活気あるうちに企業文化やスキル伝承を行わなければ、時期を逃すと人材も知識も枯渇する。 |
機会損失の教訓 | チャンスの池に魚がいるうちに動かねば、いずれ誰も釣れなくなる。タイミングと準備の重要性を忘れないこと。 |
📝心得まとめ
「若き日の怠りは、老いの悲哀となる」
美しき池も、時が経てば干上がり、
白鷺のように何も得られぬ時が必ず訪れる。
ゆえに、若き今こそが備えの時、築くべき時である。
学び、働き、人格を磨き、
徳を重ねる人生こそが、老いを豊かな光に変える道である。
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