目次
📜引用原文(日本語訳)
骨で城がつくられ、
それに肉と血とが塗ってあり、
老いと死と高ぶりとごまかしとがおさめられている。
(ダンマパダ 第十一章「老いること」第150節)
🔍逐語訳
- 骨で城がつくられ
→ 人間の身体は骨格によって構築された「城(砦)」のような構造である。 - それに肉と血とが塗ってあり
→ 肉と血が骨を覆い、外見を形づくっている。だがそれは仮の姿にすぎない。 - 老いと死と高ぶりとごまかしとがおさめられている
→ その身体という「城」には、老化と死、驕り(高ぶり)や欺瞞(ごまかし)という迷いの主たちが棲んでいる。
🧾用語解説
- 骨で城がつくられ:身体の構造を城に喩え、外的に堅固そうに見える姿を表現。
- 肉と血:外見的な魅力、肉体的存在感の象徴。
- 老い(ジャラ)と死(マラナ):身体に内在する避けがたい運命。
- 高ぶり(マーナ)とごまかし(マーアーヤー):自我の慢心と、真実から目を背ける心の働き。
💬全体の現代語訳(まとめ)
人の身体は、まるで骨で築かれた城のようであり、
その上に肉や血が塗られ、美しい見た目がつくられている。
だがその中には、老い・死・慢心・ごまかしといった破滅の種が潜んでいる。
この詩句は、「見た目や強さに騙されてはいけない。
その奥には、無常と煩悩が潜んでいることを忘れてはならない」と警告している。
🧠解釈と現代的意義
この章句は、人間存在の本質に迫る非常に深い洞察です。
私たちはしばしば、肉体的健康、外見、若さ、体力といった要素に価値を置きますが、
実際にはその「城」の内部には、衰え・死・自我の誤認・欺瞞が居座っているという真実を忘れがちです。
この節は、仏教的な身体観――つまり肉体は仮の器であり、真の価値は内なる目覚めにある――という原理を強く表しています。
💼ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
形あるものへの過信 | 強固に見える組織も、制度も、商品も、内部にリスクや衰退の兆しを抱えていることを自覚すべき。 |
外面主義からの脱却 | ブランド、広告、見た目の好印象に頼りすぎず、本質的な品質や誠実さを大切にする。 |
内部課題の可視化 | 見かけは好調でも、組織内に「慢心」や「欺瞞」が潜んでいれば、やがて崩壊する危うさがある。 |
自己認識の深化 | 自分の中にある「高ぶり」や「ごまかし」を客観視することで、より良い判断と行動ができる。 |
📝心得まとめ
「肉の城に住むのは、老いと死と慢心である」
見た目の強さ、美しさ、成功の背後には、
崩壊を招く種子がすでに宿っている。
だからこそ、自分の内側を見つめる勇気と、
慢心に溺れず、虚飾を超えて、真の価値を築く意志が求められる。
仏陀は言う。
「その城の主は誰か?」――それを見極めよと。
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